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《東京都知事選ルポ》主要候補から外れた清水国明氏、柴又駅前でなぜ安野貴博氏と“共闘”したのか? その背景に他陣営がスルーした安野氏の“グループLINE”計画

柴又駅前で握手を交わす清水国明氏と安野貴博氏(2024年6月撮影:小川裕夫)

柴又駅前で握手を交わす清水国明氏と安野貴博氏(2024年6月撮影:小川裕夫)

 選挙といって思い浮かぶスタイルは、マイクを握って拳をふりあげ、青筋を立てて候補者の名前を繰り返し叫ぶ激しいものではないだろうか。まして、対立候補と一緒に、掲げる政策課題の解決方法を話し合って探る、なんてことは少なくとも選挙活動のなかで見られる光景ではなかった。ところが、立候補者数の多さからくる混乱が伝えられるなかで、今までになかった選挙活動をタレント候補が実践していた。ライターの小川裕夫氏が、“主要候補”に入らなかったためマスコミ露出が少なかった清水国明の選挙活動を振り返り、その独自性と今後の選挙活動の可能性についてレポートする。

 * * *
 6月24日に告示、7月7日に投開票された東京都知事選は現職の小池百合子氏が3選を果たした。

 今回の都知事選は史上最多となる56名が立候補。選挙は多くの候補者が出馬することで盛り上がり、その盛り上がりが政策議論を活発化させる。しかし、有権者が56名もの候補者全員の政策や政治理念をチェックすることは不可能に近い。

 新聞・テレビといった報道機関も、独自の基準を設けて事前に候補者を選別する。今回の都知事選では現職の小池氏のほか、元参議院議員の蓮舫氏、前安芸高田市長の石丸伸二氏、元航空幕僚長の田母神俊雄氏の4名を主要候補として扱った。主要候補はテレビ・新聞での露出度は段違いに多く、名前が都民に広く知れ渡り、街頭演説にも多くの人が集まる。当然ながら、得票数にも差が出る。

 選挙は本質的に政策競争でなければならないが、現実的には候補者の知名度や支援している団体・組織の集票力が物を言う。ゆえに、主要候補の枠からはずれると不利な戦いを強いられる。

 報道機関の事情は斟酌するが、それでも56名もの候補者を10分の1以下まで選別する行為は乱暴と言わざるを得ない。できるだけ多くの候補者を取り上げて、政策や政治理念を伝える責務が報道機関にはある。

 筆者は非主要候補の選挙活動にもできるだけ足を運ぶようにしている。彼ら非主要候補の取材を重ねていると、主要候補と比べて遜色のない活動をしている人も少なくないのがわかる。

 今回の都知事選を例にすれば、清水国明氏は「その他」と一括りにするのは惜しい、社会的に意義のある活動を続けてきた候補者だ。

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