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蛯名正義・調教師が解説 競馬界における夏の暑さ対策として「競走時間帯を拡大」する意味

厩舎に新しい仲間がやってくるとどんな影響があるか

夏の暑さ対策について蛯名正義・調教師が解説

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏は、2022年3月から調教師として活動中だ。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、夏の暑さ対策についてお届けする。

 * * *
 今年も昨年以上の酷暑になりそうだという予報。馬は暑さが本当に苦手で、「暑熱対策」は、競馬を施行するうえでずっと課題になっています。もちろん馬だけでなく、炎天下で馬場を管理する従業員、パドックで馬を引く厩務員や助手、そしてもちろんジョッキーにも近年の暑さは危険です。昨年までは夏の小倉競馬場で休止期間を設けたりしましたが、今年はそれに加えて新たな策が講じられます。

 7月最終週と8月第1週の4日間、開催されるのは新潟競馬場と札幌競馬場だけ。これは昨年と同じですが、新潟では1レースのスタートが早まって午前9時35分になります。そして第5レースが11時35分スタートで行なわれた後、気温が高くなる時間帯のレースを休止。夏休みの小学生だったら「お昼寝の時間」という感じですが、その間も札幌では普通のスケジュールで競馬が行なわれます。

 新潟では午後3時すぎから競馬が再開、メインが7レースで今までと同じ3時45分スタートで行なわれます。これまでメインの後は最終の1レースだけだったのが、8から12までの5レース、夕方の6時25分まで行なわれることになります。

 以前、レースの開始時間を遅らせて、最終レースのスタートを遅くした「薄暮競馬」というのがありましたが、今回は人馬の安全面を重視した施策。レース数は今まで通りで、「競走時間帯」を拡大して暑熱対策にしようということです。

 競馬ファンにとっては、朝9時半から約9時間、文字通り今までより長い時間競馬が楽しめることになります。新潟競馬場に出かけて行った方は、日中の暑い時間帯、涼しい場内で札幌競馬を観戦してください、というわけですね。

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