北朝鮮当局は中国やロシアなどの大学に派遣している北朝鮮留学生に対して、学業を中断して一時帰国をするよう指示していることが分かった。
北朝鮮では2020年から昨年春ごろまで新型コロナウイルスの世界的な流行を受けて、留学生の帰国を禁止していたが、コロナ禍が落ち着いたことから政治・思想指導強化のため、帰国を命じたものとみられる。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
海外留学生らへの通告では、一時帰国の目的は7月下旬の金正恩朝鮮労働党総書記への忠誠を強化することを目的とした会議に出席するためとされている。
これは北朝鮮の若者に対する思想統制を強化し、若いエリート層の離反を防ぐための広範な取り組みの一環とみられている。
北朝鮮当局としては、海外留学生は主に北朝鮮のエリート家庭出身で経済的に困っていないことから、海外では西側の思想に染まったり、女性関係などで学業をおろそかにするなど、愛国心をなおざりにする傾向が強いことから、この機会に思想教育を強化する必要があるとの結論に達したようだ。
仮に、今回の政治・思想教育で一定水準に達しない場合は、夏休み明け秋以降、留学先に戻さない可能性もあることから、すでに帰国通告を受けたあと、消息が分からなくなっている留学生も出ているという。