ライフ

【新刊】芸能生活74年・草笛光子さんの魅力あふれる『きれいに生きましょうね』など4冊

 いよいよ本格的な夏が到来。暑い季節だからこそ、涼を取りながら読書でもしてみては。おすすめの新刊を紹介する。

芸能生活74年。クリちゃん(本名)の心意気に触れるお茶目で愉快な人生

芸能生活74年。クリちゃん(本名)の心意気に触れるお茶目で愉快な人生

『きれいに生きましょうね 90歳のお茶飲み話』/草笛光子/文藝春秋/1870円
 高峰三枝子さんや親友兼高かおるさんに死に化粧を施し、夜中に柿の種を内緒で食べるもお手伝いさんにはすっかりバレていて、差し歯が取れたのを面白がられて前歯空洞のまま撮影した映画も。題名は陰湿な仕打ちもある芸能界で、そんな汚濁にはまみれないと、マネジャーの母上と涙ながらに誓い合った言葉から。中年男性も憧れる草笛さんのいぶし銀の魅力が横溢している。

60代シングルの詩人がこよなく愛す 毛のある生きものとのままならない日々

60代シングルの詩人がこよなく愛す 毛のある生きものとのままならない日々

『野犬の仔犬チトー』/伊藤比呂美/光文社/1760円
 保護施設でもらった野犬の仔犬。熊本の我が家にはすでに大型猫2匹とカリフォルニアから連れてきたジャーマンシェパードがいた。そこにこのチトーが加わる。触らせない、怯えて出てこない、散歩もできない。著者が3年の任期で早大教授を務めていたコロナ禍前後の出来事だ。カリフォルニアに置いてきたもう一頭の老犬との再会にもウルッ。犬はいいなあ、好きだなあ。

酷暑の夏の読書は、ミステリ短編集で涼をとろう

酷暑の夏の読書は、ミステリ短編集で涼をとろう

『明智恭介の奔走』/今村昌弘/東京創元社/1870円
 神紅大学の明智恭介が始めたミステリ愛好会、通称ミス愛。唯一の会員である葉村君は探偵明智の助手役を務める。気絶しているところを発見された学内侵入の窃盗犯、下着のパンツを引き裂いていた明智自身の泥酔事件、ちょっとした隙に試験問題を入れたUSBメモリが消える怪事件など全5編。最後のストーカー手紙ばらまき事件では、1回生の頃の初々しい明智君に会える。

少女以上、大人未満。未来に飛び立つ寸前の羽の輝き

少女以上、大人未満。未来に飛び立つ寸前の羽の輝き

『パパイヤ・ママイヤ』/乗代雄介/小学館文庫/715円
 初読時から惚れ込んだ小説の文庫化。インテリ自由人の母親がイヤなママイヤと、アルコール依存症の父親がイヤなパパイヤ。そんなハンドルネームで知り合った17歳同士は、木更津の干潟で週に一回待ち合わせ、なにげない会話を通して互いの輪郭を濃くしていく。二度とこない夏、二度と持てないような友。写真好きのママイヤがシャッターを切る場面が未来の思い出のようだ。

文/温水ゆかり

※女性セブン2024年8月1日号

関連記事

トピックス

広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
《事故前にも奇行》広末涼子容疑者、同乗した“自称マネージャー”が運転しなかった謎…奈良からおよそ約450キロの道のり「撮影の帰り道だった可能性」
NEWSポストセブン
筑波大の入学式に臨まれる悠仁さま(時事通信フォト)
【筑波大入学の悠仁さま】通学ルートの高速道路下に「八潮市道路陥没」下水道管が通っていた 専門家の見解は
NEWSポストセブン
広末は再婚へと向かうのか
「これからもずっと応援していく」逮捕された広末涼子の叔父が明かす本当の素顔、近隣住人が目撃したシンママ子育て奮闘姿
坂本勇人(左)を阿部慎之助監督は今後どう起用していくのか
《年俸5億円の代打要員・守備固めはいらない…》巨人・坂本勇人「不調の原因」はどこにあるのか 阿部監督に迫られる「坂本を使わない」の決断
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者(44)が現行犯逮捕された
「『キャー!!』って尋常じゃない声が断続的に続いて…」事故直前、サービスエリアに響いた謎の奇声 “不思議な行動”が次々と発覚、薬物検査も実施へ 【広末涼子逮捕】
NEWSポストセブン
「居酒屋で女将をしている。来てください」と明かした尾野真千子
居酒屋勤務を告白の尾野真千子、「女優」と「女将」の“二足のわらじ” 実際に店を訪れた人が語る“働きぶり”、常連客とお酒を飲むことも
週刊ポスト
再再婚が噂される鳥羽氏(右)
《芸能活動自粛の広末涼子》鳥羽周作シェフが水面下で進めていた「新たな生活」 1月に運営会社の代表取締役に復帰も…事故に無言つらぬく現在
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
《中山美穂さん死後4カ月》辻仁成が元妻の誕生日に投稿していた「38文字」の想い…最後の“ワイルド恋人”が今も背負う「彼女の名前」
NEWSポストセブン
山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
《病院の中をウロウロ…挙動不審》広末涼子容疑者、逮捕前に「薬コンプリート!」「あーー逃げたい」など体調不良を吐露していた苦悩…看護師の左足を蹴る
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン