惜しくもパリ五輪の切符は逃したが、“同じ地”で栄冠を掴んだ。フランスで開催された米女子ゴルフメジャー「アムンディ・エビアン選手権」で逆転優勝を飾った古江彩佳(24)。6月に「全米女子オープン」を制した笹生優花(23)に続く日本人4人目の快挙となった。
古江は山下美夢有(22)とのデッドヒートの末に五輪出場権を逃したが、その無念を晴らす結果となった。その裏には幼少期からコーチとして支えてきた父・芳浩さんのサポートがあったという。
「米国が拠点なので普段はリモートやメールでやり取りをしている。五輪代表争いに敗れた古江は、フランスのエビアンに向かう前に米国から一時帰国しています。その際に、父からショットやパットのアドバイスを受けて調整したそうです」(ゴルフ誌記者)
JLPGAの公式選手名鑑(ツアーブック)では、古江の「師弟関係」の欄にも名前のある芳浩さんだが、ゴルフは“素人”だという。
「古江は3歳の時、コンペに参加するために練習する母についていったことで興味を持ちゴルフを始めた。その際、未経験でグリップの握り方すらわからない芳浩さんが教えることになった。テレビやゴルフ誌で勉強し、我流で教え始めた。高校はゴルフ名門校に進んだが、『アドバイスを受けるコーチは父親』と決めていたそうです」(同前)
子供の性格を知り尽くしている
女子ゴルフの世界ではこうした父との「親子鷹」が多い。笹生や東京五輪銀メダリストの稲見萌寧(24)もそうだ。なぜ世界で戦うトップ選手たちが、アマチュアである父親を師と仰ぐのか。横峯さくら(38)を育てた「さくらパパ」こと横峯良郎氏が言う。
「私もそうだったが、ツアーを転戦するようになってからはコーチといっても細かい技術はほとんど指導しない。『いつもとここが違う』とか『あの頃のスイングができているよ』といった心の支えとなるようなアドバイスを送る役割です。
うちはよく喧嘩をしたが、それも“作戦”。子供の性格を知り尽くす親だからこそできることは多い。古江の強さはボギーの少なさ。お父さんは子供の頃から“ボギーを叩かなければ優勝できる”というアドバイスをしてきたんだと思うよ」
親子の絆は世界を制す。
※週刊ポスト2024年8月2日号