中国の諜報機関でもある中国国家安全部は7月12日、微信(ウィーチャット)公式アカウント「国家安全部」で、近年中国内の大学で高利のキャンパスローンがはびこり、多くの若者が底なしの穴に落ちているとし、キャンパスローンの返済に困った学生を外国の諜報機関が脅迫して中国の国家機密を盗む事件がたびたび起きていると警告した。
国家安全部は、中国のある国家重点大学で写真を学ぶ女子学生の事例を紹介している。この女子学生は高額なカメラなどの高級機材を買ったことで、生活費が足りなくなり、高利のキャンパスローンから2万元(約43万円)を借りたが、返済できなくなったという。そこでローン会社の社員はこの女子学生に対して、「父親は有名な研究機関に勤めているのだろう。その研究機関の資料などを持ってきてくれたら、お金の返済はしなくてもいい」と秘密資料の提供を求めた。
女子学生はこの言葉を真に受けて、父親に内緒でとある資料を渡したが、社員はそれから何度も女子学生に同様の要求をし続けたという。
耐えきれなくなった女子学生は父親と相談して、国家安全部の職員に事情を打ち明けた。それを受けて国家安全部はこの社員を逮捕したところ、実は外国の情報機関に雇われた諜報員だったことが分かったという。国家安全部はこの情報機関がどの国のものかは明らかにしていない。
有名大学の学生の親は往々にして共産党や有力企業の幹部であることが多く、外国の諜報員に狙われやすい。
同部では「スパイ活動が発見されたら、国家安全保障局報告受理ホットライン、オンライン報告プラットフォーム、国家安全省 ウィーチャット公式アカウント報告受理チャネル、または地元の機関に直接報告してほしい」と警告を発している。