米国商務省はこのほど、英米などの元軍パイロットに中国軍の訓練をさせることに関わった中国、南アフリカ、英国の4企業に対して、米企業などとの貿易制限の制裁を科した。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
この4企業は中国のグローバル・トレーニング・ソリューションズとスマーテック・フューチャー、南アフリカのグレースエア、英国のリビングストン・エアロスペース。中国企業2社は、グレースエアなどの2社を通じて英米などの軍を引退したパイロットを雇って、中国のパイロットの訓練を行わせていたという。
雇われた引退パイロットの中には元米海兵隊員で現在はオーストラリア国籍のダニエル・ダガン氏が含まれている。同氏は2016年に米国市民権を放棄し、オーストラリア国籍となっている。
同氏は、2012年に南アフリカのテスト飛行アカデミーで中国軍のパイロットと知りながら、彼らに空母への着艦方法などを訓練したとして、米国政府がオーストラリア政府に身柄の拘束を要請し、現在拘束中だ。米政府は引き渡しを求めているが、同氏は中国の民間パイロットを訓練しただけだと主張、容疑を否認しているため身柄の引き渡しには至っていない。
英国政府も事態を重視しており、中国軍パイロットの訓練にかかわった英軍の元パイロットから事情を聴いている。
商務省が制裁を発動したことは、米国がこの問題について決して妥協せず、中国への圧力を一層高めていることを意味していると言えるだろう。