「東京五輪で金メダル5個を獲得し、今大会もメダルラッシュが期待される男子柔道。なかでも最重量階級で4大会ぶりに金メダルを獲得できるのではないかと注目されているのが、100kg超級に出場する斉藤立選手(22才)です。古くは武道=体重無差別という風潮もあり、最重量階級での金メダルは柔道をお家芸とする日本の悲願です」(スポーツライター)
立の父は、ロサンゼルスとソウルの五輪2大会で金メダルに輝いた斉藤仁さん(享年54)だ。
「父譲りの恵まれた体格を持つ斉藤選手は身長約190cm、体重170kgを超えます。足のサイズはなんと35cmで、服も靴も既製品には体に合うものがないんだとか。
そんな斉藤選手ですが、母親の三恵子さんは教育熱心で、もともと兄と斉藤選手を弁護士か医師にしたいと考えていたそうです。息子たちのお受験では、仁さんが小学校の抽選に挑むも落選。その際、『オリンピックと同じ気持ちで臨んだの?』と夫に詰め寄ったと、三恵子さん本人が明かしています」(柔道関係者)
立が兄の影響で柔道を始めたのは、小学1年生の頃。しかし、優しかった父は畳の上では豹変する。1cm単位で足の位置を指導する姿はまさに「柔道の鬼」だった。幼い立は学校帰りに玄関で父の靴を見つけると、そのまま学校に引き返していたという。しかし、病に倒れた父の姿が立を変えた。
「仁さんはがんとの闘いでやせ細り、意識が混濁しながらも、死の前日まで子供たちに『稽古に行け』と言葉をかけた。三恵子さんも『(息子を)絶対に立派な柔道家にするから』と病室で誓ったそうです。12才で父を亡くした斉藤選手ですが、偉大な父の背中を追いかけて練習を重ね、20才で全日本選手権を制したのです」(前出・柔道関係者)