和装研究家の飯田美代子さんは和・婚礼の専門家として書籍の監修や執筆などに携わる傍ら、御年90歳でYouTubeデビューし、SNSの総フォロワー数が40万人を突破。若者とコンビで粋な大人の作法を指南するTikTok『みよちゃんに叱られる』がZ世代を中心にバズるなど、日本で「最高齢インフルエンサー」としても活動する。
94歳の今「仕事をしている時が一番楽しい!」と語る飯田さんに、映画『九十歳。何がめでたい』の感想を聞いた。
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79歳の友人から「もう一度映画を観たいから、ぜひ一緒に」と誘われて久しぶりに映画館へ行ったんです。仕事に没頭する90代の愛子に同年代として胸が熱くなって、ファクスの紙が詰まって慌てる日常の1コマに共感して。
エンドロールで流れた、佐藤さんご本人の若かりし日の写真には私自身の幼少期の思い出を重ねて、懐かしさで胸がいっぱいに……。先に映画を観ていた友人が「周りは“あはは”と笑っていたけれど、私は最後に涙が出た」と言っていた気持ちがわかる気がしました。
佐藤さんは自分の人生をはつらつと生きている。その姿が痛快で人生の先輩として憧れます。劇中、断筆宣言をして書くことを拒否していた佐藤さんが再び原稿用紙に向かうシーンにグッと心を掴まれました。万年筆のキャップを外した瞬間のあの表情! 演じる草笛光子さんの目の輝きや所作がまた魅力的で。書き終えてキャップを閉めるのではなくて、キャップを外すところがいい。“やるぞ!”という気概がひしひしと伝わってきて、感動したんです。
自分はアマチュアの「もの書き屋」ではありますが、書くことを愛し、ペンを握ったまま逝きたいと常々考えていました。あいにく最近はパソコンが相棒ですが、人生の扉を閉じる時には映画のワンシーンよろしく原稿用紙を出してきて、モンブランの万年筆を手に清々と旅立つ──そんな最期が理想です。
取材・構成/渡部美也
※女性セブン2024年8月8・15日号