芸能

《子供番組で知り合って50年》高田文夫氏が戸田恵子さんの一人芝居で目撃した“乗り移った大女優”

10代の頃から知る戸田恵子さんについて(イラスト/佐野文二郎)

10代の頃から知る戸田恵子さんについて(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、10代の頃から知る戸田恵子の凱旋公演について綴る。

 * * *
「“凱旋公演”、響きは格好よくて、どうにか読むことは出来るんですけど……漢字じゃ書けません」と戸田恵子がマクラでひとつかみ。まばゆいばかりの輝きである。私が20代後半、戸田が10代の終り頃、NHKの子供番組で知りあってから50年、もはや芸界一の古き知り合いになったかも。芝居が達者でコントが良くて、歌手でデビューしてるから歌もうまい。なにしろ芸に貪欲。芸の勘がすこぶるいい。声優としてもアンパンマンを始め文句なし。

 私の長男が小学生の頃、当時やっていた『ゲゲゲの鬼太郎』の声でカセットに吹きこんでくれた。「○○クン、しっかり勉強していっぱい遊んでネ。そしてお父さんのことを尊敬するんだよ」

 大好きな鬼太郎に言われたからマジメに私を尊敬するようになった。ひと言でピシャリだ。次男が小学生の時は『きかんしゃトーマス』の声で「時々は勉強するんだよ。ゴハンをいっぱい食べてネ。お父さんは大切にしなくちゃいけないよ」。すぐに大切にするようになった。

 その戸田の一人芝居『虹のかけら~もうひとりのジュディ』がNYのカーネギーホール公演から凱旋。カーネギーホールにも大・中・小と三ツあり、初めて日本人としてここにアイ・ジョージが立った時は日本中で大騒ぎでした。たしか1963年の頃だから60代70代の人達はあのニュースの興奮は覚えていると思う。その後1976年には朱里エイコが立っている。

『虹のかけら』は三谷幸喜の構成・演出。小ホール。ジュディ・ガーランドは『オズの魔法使』などで知られるミュージカルの大作で輝き続けた女優。もう一人のジュディは同名で専属の代役やら付き人、お手伝いなどをやって尽くした女性。実はこの付き人がジュディ・ガーランドについて毎日目にしたことを日記につけていたからさあ大変。付き人の目を通したジュディへの愛憎やら人に言えない数奇な人生。余談だがたしかその昔浪花の漫才師“ミヤコ蝶々”もやったことがあった。

 芸に優れた人の心や苦悩が分かるから芸達者な戸田に乗り移ってできるのだろう。後日戸田からお礼があって「凱旋の時はNYからジュディが憑いてきてるようでした。高田センセはアイ・ジョージ世代ですよね」だと。ほっとけ。

 古き(1891年)カーネギーホールから最も新しい劇場、吉本が創って明石家さんまが支配人(?)の後楽園「IMMシアター」。“生きてるだけでまるもうけ”のIMMらしい。中川家、サンドウィッチマン、ナイツの「漫才サミット」。こざっぱりしたいい劇場だった。東京のお笑い事務所も力を合せて劇場持たなきゃ。

※週刊ポスト2024年8月9日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

田村瑠奈被告(右)と父の修被告
「ハイターで指紋は消せる?」田村瑠奈被告(30)の父が公判で語った「漂白剤の使い道」【ススキノ首切断事件裁判】
週刊ポスト
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
暴力団幹部たちが熱心に取り組む若見えの工夫 ネイルサロンに通い、にんにく注射も 「プラセンタ注射はみんな打ってる」
NEWSポストセブン
10月には10年ぶりとなるオリジナルアルバム『Precious Days』をリリースした竹内まりや
《結婚42周年》竹内まりや、夫・山下達郎とのあまりにも深い絆 「結婚は今世で12回目」夫婦の結びつきは“魂レベル”
女性セブン
騒動の発端となっているイギリス人女性(SNSより)
「父親と息子の両方と…」「タダで行為できます」で世界を騒がすイギリス人女性(25)の生い立ち 過激配信をサポートする元夫の存在
NEWSポストセブン
宇宙飛行士で京都大学大学院総合生存学館(思修館)特定教授の土井隆雄氏
《アポロ11号月面着陸から55年》宇宙飛行士・土井隆雄さんが語る、人類が再び月を目指す意義 「地球の外に活動領域を広げていくことは、人類の進歩にとって必然」
週刊ポスト
九州場所
九州場所「溜席の着物美人」の次は「浴衣地ワンピース女性」が続々 「四股名の入った服は応援タオル代わりになる」と桟敷で他にも2人が着用していた
NEWSポストセブン
初のフレンチコースの販売を開始した「ガスト」
《ガスト初のフレンチコースを販売》匿名の現役スタッフが明かした現場の混乱「やることは増えたが、時給は変わらず…」「土日の混雑が心配」
NEWSポストセブン
希代の名優として親しまれた西田敏行さん
《故郷・福島に埋葬してほしい》西田敏行さん、体に埋め込んでいた金属だらけだった遺骨 満身創痍でも堅忍して追求し続けた俳優業
女性セブン
佐々木朗希のメジャーでの活躍は待ち遠しいが……(時事通信フォト)
【ロッテファンの怒りに球団が回答】佐々木朗希のポスティング発表翌日の“自動課金”物議を醸す「ファンクラブ継続更新締め切り」騒動にどう答えるか
NEWSポストセブン
越前谷真将(まさよし)容疑者(49)
《“顔面ヘビタトゥー男”がコンビニ強盗》「割と優しい」「穏やかな人」近隣住民が明かした容疑者の素顔、朝の挨拶は「おあようございあす」
NEWSポストセブン
歌舞伎俳優の中村芝翫と嫁の三田寛子(右写真/産経新聞社)
《中村芝翫が約900日ぶりに自宅に戻る》三田寛子、“夫の愛人”とのバトルに勝利 芝翫は“未練たらたら”でも松竹の激怒が決定打に
女性セブン
天皇陛下にとって百合子さまは大叔母にあたる(2024年11月、東京・港区。撮影/JMPA)
三笠宮妃百合子さまのご逝去に心を痛められ…天皇皇后両陛下と愛子さまが三笠宮邸を弔問
女性セブン