「家で人が亡くなることは珍しいことではなく、自殺や孤独死、不慮の事故のほか殺人事件だけでも1日1件は発生しています。“事故物件”は常に生まれているのです。私はそのような物件を訪れて場所を把握し、その情報を公示するサイトを運営していますが、これまで私自身は、霊的な体験をしたことはありませんし、霊を見たこともありません」
と話すのは、日本一の事故物件情報サイトを運営する大島てるさん。さらに「ただし……」と続ける。
「家で人が死ぬのは“よくある話”です。でも、それが同じ部屋や場所で3回重なるとどうでしょう。偶然という言葉では言い切れない不思議な力が働いていると考えざるを得ません。私はそういう“不思議”をたくさん経験してきました」
約1か月の間に2人が亡くなり焼失した家も
「中でも忘れられない物件が、神奈川県横浜市の郊外にあった畳店。物件は店舗兼住居になっていて、そこには当時70才の女性と彼女の娘(当時45才)、そして孫(当時24才)の3人が住んでいました。ある日、一家の大黒柱だった娘が自宅で倒れ、急性心不全で亡くなります。その後、孫が“自分が母を殺した”と自首しますが、遺体には孫が言うような外傷がなく、司法解剖の結果、事件性がないと判断されました。孫は起訴されないまま、娘は荼毘に付されました。
しかし、娘の死から1週間後、家主の老婆が殺されたのです。自首したのは、やはり孫。“祖母の首をマフラーで絞めた。今後の生活について祖母と意見が合わなかったからだ”とし、逮捕されました。その報道があった数日後、その物件は不審火で全焼。最初の事件から約1か月の間に2人が亡くなり、1人が逮捕され、さらに家そのものがなくなってしまいました。私が現地を訪れたときはすでに更地になっており、それから10年以上、駐車場になっていました。凄惨な事件があった後の物件は、ほとぼりが冷めるまで、駐車場になることが多いんです」(大島さん・以下同)
立て続けに不幸が起こる例として、このようなケースもあったという。
「東京都世田谷区と杉並区内の区境にある複数の集合住宅で、立て続けに3件の自殺、殺人、火災が起こったことがあります。発端は某都営住宅の404号室で首吊り自殺があり、白骨遺体が見つかったこと。その約1年後、その物件から直線距離で300mも離れていないマンションの404号室で、妻が夫を殺害。それから3か月後、そのマンションから30mほど離れた集合住宅で火事が起こり、女性が焼死しました」
「4」は「死」を連想させる不吉な数字とされる。その影響もあるのだろうか。
「4のつく数字だからというわけではないと思います。というのも、東京都江東区にある複数のマンションの2710号室でも、3人が立て続けに亡くなる事件がありました。某タワーマンションで自殺があった後、同区のマンションの2710号室でも、40代の息子が70代の父を刺殺後、飛び降り自殺しました。これもたまたまではないと思うのです。
私は約20年この仕事をしていて改めて、見えない力はあると思っています。不幸な事件があった場所には、人の思念が集まり何かが起こります。それを目の当たりにしてきました。私は験担ぎや神仏などの見えない力を畏れる気持ちが、身を守るためにも必要だと感じていて大切にしています」
大島さんは仕事以外では、あえて事故物件や心霊スポットに行かないという。そもそもサイトを開設したのも、事故物件を避けたいから。負の思念が集まる場所には興味本位で近づかない方がいいのだ。
【プロフィール】
大島てる/2005年から事故物件公示サイト「大島てる」を運営。殺人、自殺、火災死、孤独死などがあった物件を事故物件として公示。現在は海外の事故物件も扱う。共著に『超怖い物件』(講談社)ほか多数。
取材・文/前川亜紀
※女性セブン2024年8月8・15日号