「世界で最も高い空きビル」として、1992年にギネス世界記録に認定されている北朝鮮の未完成の柳京ホテルについて、外資を導入して最上階の105階部分にカジノを開設し、外国人客を誘致する計画が浮上していることが明らかになった。
これは、北朝鮮の最高指導者、金正恩朝鮮労働党総書記から観光促進のために実質的な措置を講じるようとの命を受けたもので、ホテル内のカジノを運営する権利はホテル建設に投資する外国人起業家に与えられる予定だ。米政府系報道機関「ラヂオ・フリー・アジア(RFA)」が報じた。
柳京ホテルは高さ330m、105階建てで、1987年に建設を開始し1992年にオープンするはずだったが、ソビエト連邦の崩壊によりモスクワからの援助が途絶えるなどして、一時、建設が中断した。2008年4月には、16年ぶりに建設が再開されたことが報じられたこともあった。これも完成には至らなかったが、断続的に工事は進められ、外装部分は完成しているとされている。
いまでは高層階部分には、スクリーンが設置されライトアップショーが行われるなど平壌の数少ない観光名所になっている。
北朝鮮は2020年から昨年までコロナ禍で国境を閉ざしていたことなどもあって、慢性的な外貨不足に悩んでいるが、起死回生の策として、金正日総書記が目を付けたのが、このホテルだという。外資を導入して、ホテルの内装部分が完成させカジノを開業させれば多くの外国人観光客を呼び込むことができる。
北朝鮮と国境を接する中国遼寧省丹東市では、近く北朝鮮と中国、ロシア、モンゴルが参加する中国政府主催の投資イベントが開催される予定で、北朝鮮代表団は柳京ホテルのカジノ開設、その運営権譲渡を条件として投資を呼びかけるという。