YouTuberとして人気に火がつき、テレビでも見ない日はないほどのブレイクを果たしたフワちゃん。個性的なキャラクターが支持される一方で、度を超えた破天荒ぶりは賛否両論だったといえるだろう。そして8月上旬のSNSでの投稿をきっかけに、ラジオ番組やCMから降板することになっった。そんなフワちゃんがテレビで求められ続けてきた理由について、有名人批評に定評があるライターの仁科友里さんが昨今の芸能界事情を踏まえながら分析する。
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タレント·フワちゃんによる、X(旧ツイッター)での芸人・やす子さんに対する不適切なリプライ。フワちゃんはやす子さんとの間に確執はなく、操作ミスにより投稿してしまったと不測の事態であることを主張していますが、その代償は高くついたようです。ニッポン放送はフワちゃんがパーソナリティーを務める「フワちゃんのオールナイトニッポン」の降板を発表、Google Japanはフワちゃんが出演していた、スマートフォン「Googleピクセル」のCM動画を非公開にしました。やす子さんをいじめていたという疑惑を払しょくできなかったフワちゃんに、ますますネットは炎上。とうとうフワちゃんは休業を発表します。
仕事への影響ははかりしれませんが、私が驚いたのは、来春から使われる予定だった中学の技術·家庭(家庭分野)の教科書から、フワちゃんの写真が削除されることになったというニュースなのでした。フワちゃんは「自分らしさや個性を表す例」として、掲載される予定だったそうです。義務教育の教科書に、フワちゃん。これは少々大げさに言えば、フワちゃんの個性を、文科省が好ましいものとみなしたということでしょう。YouTuberから、教科書へ。短期間にここまで出世を遂げたタレントというのは、他にいないのではないでしょうか。そこで、今回は、フワちゃんブームはなぜ起きたのかについて考えてみたいと思います。
自信を喪失するテレビ界の人たち
最近のテレビ界には、あまりいいニュースが聞こえてこないと言えるのではないでしょうか。テレビを見る人が減っているというニュースはたびたび耳にしますし、2022年2月24日付「日本経済新聞」によると、インターネットの広告費は、新聞、雑誌、ラジオ、テレビのマスコミ4媒体の広告費を上回ったそうです。一方、オンライン動画共有サービス、YouTubeチャンネルは高い視聴回を叩きだし、フワちゃんのようなスターを生み出します。自分たちはプロだ、面白い番組を作ってきたという自負のある芸能人もしくはテレビマンほど、この結果に驚いたのではないでしょうか。そのうちのひとりが、マツコ·デラックスさんのような気がするのです。