香港の首席弁護士(イギリス連邦での法廷弁護士)で、香港民主党を結成し、民主化運動の中心的指導者だった李柱銘(マーチン・リー)氏(86)らが2020年の裁判で受けた違法集会参加の有罪判決を不服として最高裁に上告していた裁判が、8月16日行われた。李氏の有罪判決が確定し、香港弁護士会は李氏の弁護士資格はく奪の手続きに入った。
早ければ、今月中にも李氏の弁護士資格がはく奪される見通しだ。李氏は「香港民主化の父」と呼ばれていたが、中国の習近平指導部による香港の民主化勢力への圧力に屈する形となった。香港に拠点を置くニュースウェブサイト「香港フリープレス」が報じた。
李氏ら香港の主要な民主派指導者15人は2019年8月、政府への抗議デモや集会などに参加したとして、香港警察に逮捕され、2021年4月16日に禁錮11カ月(執行猶予付き)の判決を言い渡された。
李氏らはこの判決を不服として控訴したが、最高裁は控訴を却下し、判決が確定した。
これを受けて、香港弁護士会所属の3人の親中派弁護士が法廷弁護士懲戒裁判所に李氏の弁護士資格をはく奪するよう求めている。
同裁判所は弁護士が不正行為などで有罪となった場合、罰金や停職、または資格はく奪を含む懲戒処分を科す権限を持っている。
李氏は香港の中国返還の3年前の1994年に「民主党」を創設して初代主席に就任。中国返還後も10年以上立法評議会議員を務めるなど香港の民主化を推進し、その功績が評価され、全米民主主義基金民主主義賞(1997年)など数々の国際的な人権賞を受賞するなど、香港の民主化運動のシンボル的な存在だった。