「新たな大規模地震の発生の可能性が平常時と比べて高まっている」──気象庁は8月8日、「南海トラフ地震臨時情報」を初めて発表。不安が高まるなか、数々の地震予測を的中させてきた地震科学探査機構(JESEA)のメルマガ「MEGA地震予測」は、東日本大震災の発生前と酷似した動きがあると警鐘を鳴らす。
8月8日に宮崎県で起きた最大震度6弱(M7.1)の「日向灘地震」を受け、気象庁は「南海トラフ地震」の被害が想定される茨城県から沖縄県までの1都2府26県に1週間程度の「注意」を呼びかけた。
そうしたなか、村井俊治・東大名誉教授が立ち上げたJESEAの「MEGA地震予測」は、南海トラフ地震臨時情報が発表される前から大地震への警戒を促していた。同予測は、国土地理院が全国約1300か所に設置する電子基準点のGPSデータを使って地表の動きを捉え、1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な「隆起・沈降」、東西南北の「水平方向の動き」などの主な指標を総合的に分析している。
日向灘地震が的中
JESEA主席研究員兼CTO(最高技術責任者)である中国人研究者の郭広猛博士が語る。
「現在、『隆起・沈降』で2011年の東日本大震災の発生前と酷似した動きが確認されています。当時、地震が発生する半年くらい前から徐々に沈降が始まり、日本全国に拡大していきましたが、今回も同じ現象が起きています」(以下、「」内は郭氏)
MEGA地震予測は近年、地表の動きの分析に加え、衛星画像データの解析などを組み合わせた「ピンポイント予測」を実用化。地震発生の切迫度がより高い時に限って予測を発出する。2024年の的中率は80%を超えるという。
日向灘地震発生前日に配信したメルマガでは、〈9月4日までにM6クラス以上の地震が九州地方で起きる可能性がある〉というピンポイント予測を発出していた。
「九州では6月下旬に衛星画像データの解析で、地表から地震の前兆と思われるガスの噴出を確認しました。その後、7月中旬から下旬にかけて、北海道、東北と茨城県、北信越を中心とした地域でそれぞれ同様の前兆を確認し、ピンポイント予測を出しました。同時期にこれほど多くの地域で発出したことはありません。警戒すべきは、南海トラフ地震の想定震源域だけではないのです」