放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、誰もが使っている言葉のはじまりについて綴る。
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夏休みも終わりなので私もこの夏の研究発表。「ハナから言ってるだろ」のハナは最初の意味。物事の始まり。クレージーキャッツのハナ肇は「ハナ」と「始め」だから最強の最初。本名は野々山定夫だった。どんな物にも始まりがある。我々団塊世代は当然知っててもZ世代にはチンプンカンプン。
例えば今でも使う「ガッツポーズ」。あれはガッツ石松から。ガッツが勝利して拳を上げて喜んだ。これを見たマスコミが「ガッツポーズ」と叫んだ。以来こんにちまで使用多し。「ピース」。今でも写真を撮る時はVサインのように「ピース」(平和)。井上順がカメラのCMでニコニコと初めてピースをみせて広まった。それ以前はどうやって撮ってたんだろう。
「最初はグー、ジャンケンポン」。『8時だョ!全員集合』の中でジャンケンシーンがあり、ジャンケンの呼吸を合わせるため、志村けんが「最初はグー」と整えた。多分桂三枝(文枝)といわれているのが「ジャンケンポン、あっちむいてホイ」。これを萩本欽一が『スター誕生!』で披露したら一気に広まった。
今回の五輪で大ブレイクした「ブレイキン」。あんなものとうの昔に風見しんごが『涙のtake a chance』で若者を熱狂させている。
「初の言葉。言いまわし」で多いのはとんねるず。代表的な「ツーショット」やら「大ドンデン返し」。若者達にピタリとはまっていった。明石家さんまの「バツイチ」。92年大竹しのぶと離婚。会見をしなけりゃいけないあの日、我々はCX(フジテレビ)のスタジオにいて、さんま、私、松村邦洋らで特番を撮っていた。途中「ちょっと行ってきますわ」とおでこに×を小さく書いてCX内の記者会見会場へ。少ししてスタジオに戻ってきたので「どうでした?」「あかんかったわ」とうなだれた。この日から「バツイチ」が歩き出した。
ご存知の通り「マイブーム」「ゆるキャラ」はみうらじゅん。
35年もやってる私の歴史あるラジオファンは言葉の誕生の瞬間を知っている。私は主にDJ中のしゃべりの言いまわしでひょいと出ることが多い。私のラジオは古くは芸人、業界関係者が聞いてることが多いのですぐ広まり使用される。例えば「目玉焼なにかける?」「私しょうゆ派」「オレ、ソース派」など日常を派閥化した功績は大きい。「オレポスト派」「オレアサヒ芸能派」。
今では日本中で全員使っている「○○的には―」。古いリスナーは一番最初に私が言い出したことを知っている。「的」ひとつでどれだけ日常語がスムースにころがり出したことか。オレ的には最高。面白すぎる(これもそう)。
※週刊ポスト2024年9月13日号