大小かかわらず、官民問わず、さまざまなプロジェクトが進行する中で、「予算内、期限内、とてつもない便益」という3拍子を揃えられるのは0.5%に過ぎず、約束通りに実現するプロジェクトはほとんどない。
莫大な規模のプロジェクトが失敗に終わる要因の一つに唯一無二のカスタム品である「1つの大きいもの」を作ろうとしてしまうことがある。一方、大きいものだとしても小さく分けて大きいものを作ると考えると、話は違ってくる。
世界中のプロジェクトの「成否データ」を1万件以上蓄積・研究するオックスフォード大学教授が、予算内、期限内で「頭の中のモヤ」を成果に結びつける戦略と戦術を解き明かした『BIG THINGS どデカいことを成し遂げたヤツらはなにをしたのか?』(サンマーク出版)より一部抜粋、再構成してお届けする。
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1つのレゴブロックは小さいが、9000個以上集まれば史上最大級のレゴセット、「コロッセオ」になる。これがモジュール性だ。
周りを見回せば、モジュール性はどこにでもある。レンガの壁は数百個のレンガでできている。ムクドリの群れは単体の生き物のように動くが、数百、数千羽で構成される。人体もモジュール型で、数兆個の細胞が集まってできている。これには進化的な理由がある。生存競争に勝つ「適者」は、自己複製に長けたモジュールであることが多いのだ。
モジュール性の中核にあるのが、「反復」だ。レゴブロックを1個置こう。それにもう1個のレゴをはめよう。また1個。さらに1個。反復、反復、反復。パチッ、パチッ、パチッ。
反復はモジュール性の真髄である。反復は実験を可能にする。うまくいったことは計画に取り入れよう。うまくいかなかったら、シリコンバレーで言うように「さっさと失敗」して、失敗の原因を分析、学習し、計画を調整しよう。あなたは賢くなり、設計は改善される。
また、反復は経験を生み出し、パフォーマンスを改善する。これが、「ポジティブラーニング」である。反復することによって学習曲線を駆け上がり、反復するたびにより効率よく、簡単に、安く、速くできるようになる。
ラテン語の格言にあるように、「反復は学習の母」である。