どの時代にも、番組を「笑い」で彩る人気女性アナがいる。何十年もの間、お茶の間を支えてきた「バラエティアナ」のルーツを探る。
「先駆けとなったのは1977年から放送された『アメリカ横断ウルトラクイズ』で活躍した石川牧子アナ(日本テレビ/1970年入社)でしょう。その後、バブル期周辺では南美希子アナ(テレビ朝日/1977年入社)が深夜番組『トゥナイト』で、益田由美アナ(フジテレビ/1977年入社)は『なるほど! ザ・ワールド』の体当たりロケで人気者になるなど、女性アナが次々に起用され始めました」
テレビ朝日でプロデューサーを務めた鎮目博道氏はこう語る。人気番組に抜擢されるのはほんの一握りだ。「バラエティには求められる資質がある」と女性アナ評論家の丸山大次郎氏。
「共演者のトークやネタを妨げずに番組を進行する『仕切り力』。振りに切り返す『瞬発力』、そして周囲に愛される『イジられ力』も必要でハードルが高い。報道系アナと比べて軽く見られることもありますが、決してそんなことはない」
これらの条件を持つのが「バラエティアナ」という稀有な存在だ。木佐彩子アナ(フジテレビ/1994年入社)は『笑っていいとも!』の特番で、ウミガメのモノマネを披露してタモリを大爆笑させると、以降、バラエティを主戦場にした。弘中綾香アナ(テレビ朝日/2013年入社)は鋭い切り返しが持ち味の“毒舌アナ”として数々のバラエティ番組を受け持つ。
“場の空気を読む能力”に長けている
昭和、平成、令和――時代が変わろうと、どのバラエティアナにも変わらぬ共通点があるという。
「彼女らは出演者と製作者の橋渡し役になり、瞬時の判断で立ち回ることができる。そういった“場の空気を読む能力”に長けています。自分ではなく、タレントを引き立たせることで、結果的にそのアナの魅力が際立つのです」(鎮目氏)