美容クリニックや医療機関による誇大広告の増加を受け、厚生労働省はルール違反広告の取り締まり強化に乗り出した。
2024年8月23日に自治体の広告監視を強化するための新たな手順書のひな型を都道府県などに送付した。
この手順書は、医療広告ガイドライン違反に対して、自治体がスムーズに指導や命令などを行うための標準的な手順を示すもので、美容医療被害などの問題への対策につながるものだ。
3つのステップで指導や法的措置など示す
医療広告ガイドラインは、2018年6月に施行され、誇大広告や虚偽広告を防ぐためのルールが設けられた。このガイドラインに基づき、医療機関のウェブサイトや広告には、「最上級表現の禁止」「データの根拠を明確にしない調査結果の禁止」「著名人との関係性を強調する広告の禁止」など、多くの具体的な規制が定められている。このルールは見直しを重ね、医療広告の違反は徐々に減少していると、国は見ている。
一方で、これらの規制にもかかわらず、いまだに誤解を招くような広告が後を絶たない現状はある。厚労省によると、この背景として、違反した広告が存在しても、その施設に対してどのように対処していくかという知識やノウハウが自治体に不足していることが課題だった。
そこで厚労省は、このような問題に対処するため、各自治体が一貫して違反広告に対応できるように手順書のひな型を作成した。この手順書は、調査から行政指導、改善命令、さらには法的措置に至るまでの具体的なプロセスを明確にしており、自治体が効果的に違反広告を是正できるよう支援することを目的としている。
例えば、立入検査や管理者の変更・許可の取り消し、告発のタイミング、行政指導のための文書の書き方などを示している。
ホームページやSNSのルール違反はさらに減る可能性
新たな手順書ひな型の導入により、自治体の役割は一層重要となる。
ヒフコNEWSでは、医療広告ガイドラインの内容について記事で伝えているが、虚偽の治療内容や誇大なデータ表記、著名人の名前を利用した広告など、医療広告ガイドラインに違反する広告に対して、自治体は厳格な指導を行うことが求められる。
例えば、「即日完了する治療」や「最も優れたクリニック」といった表現が、実際の医療効果を誇張している場合、自治体は迅速に改善を命じ、改善が見られない場合には法的措置が取られることになる。
厚労省の手順書ひな型は、今後、各自治体が広告違反に一貫して対応できる体制を整えるための重要な指針となる。
誇大広告などルール違反を続けている美容クリニックへの取り締まりが厳しくなることが予想され、今後ホームページやSNSなどの情報が大きく変わることが予想される。
参考文献
医療広告ガイドラインに基づく標準的な対応期限も含めた指導・措置等の実施手順書のひな型について
こんな医療広告は危ない!?「ここをチェックして危ない美容医療から身を守ろう」vol.2
限定解除要項と注意したい内容は?「ここをチェックして危ない美容医療から身を守ろう」vol.3
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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