角界での世代交代が加速中だ。史上最速優勝を果たした大の里と刺客たちが織りなすドラマに注目すれば秋場所観戦がもっと楽しくなるだろう。
令和になり3度の幕尻優勝を含め平幕優勝が続き、今年は2場所連続で大銀杏が結えない“チョンマゲ力士”が賜杯を手にする事態となった。大関が相次いで陥落し、場所の後半戦で三役と平幕力士が生き残りをかけた一番が組まれるのが通例となってしまった。
そんな混戦から抜け出そうとしているのが、入門から7場所で史上最速優勝を果たした大の里(24)だ。新入幕から3場所連続で2ケタの勝ち星を挙げ、先場所は史上初の“チョンマゲ大関”に挑戦したが9勝で終わった。
それでも秋場所で12勝以上での優勝なら、大関昇進の条件とされる三役での直近3場所33勝に届くため、審判部では「9月場所の相撲内容次第」と白紙に戻ったとしていない。
先場所優勝した横綱・照ノ富士に突き落としで土をつけた大の里。立ち合いの圧力は幕内トップクラス。優勝争いを先頭で引っ張る力士のひとりだが、「大関とりは簡単ではない」というのは出羽海一門の若手親方だ。
「他の力士が大の里をよく研究している。立ち合いで食い止め、まわしを許さなければ勝機はあるとみている。先場所は御嶽海、若元春、平戸海、豪ノ山、琴櫻、隆の勝に敗れたが、立ち合いから一気の出足を持つ押し相撲に弱点がある。それが6敗につながった」
番付上位には先場所の6人以外にも、十両時代も含めて負けたことがある琴勝峰、一山本、狼雅がいる。先場所の不戦勝を除けば3連敗中の豊昇龍、ハッスル相撲で大物食いの阿炎、熱海富士も控えている。