わずか2週間の間に同じ人物の豪邸企画が、フジテレビとTBSで相次ぎ放送される事態に──。『オドオド×ハラハラ』(フジテレビ系)と『ジョンソン』(TBS系)で、にしたんクリニックなどを手がける西村誠司社長の豪邸を芸人が訪問する企画でかぶってしまったのだ。いずれの番組も今秋で終了予定だ。“丸かぶり”の背景には、どんな事情があったのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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9日21時から『ジョンソン』(TBS系)「総額30億円超!有名社長の豪邸でお宝探しSP」が放送されます。これは、にしたんクリニックなどを手がける西村誠司社長が渋谷の一等地に建設したばかりの豪邸に潜入するという企画で、「ロールスロイスや屋上のプールにメンバー大興奮」などの内容が予告されています。
しかし、西村社長の豪邸は11日前の8月29日に『オドオド×ハラハラ』(フジテレビ系)で紹介されたばかり。しかも約8000万円の高級車・ロールスロイスや4000万円かけた金のすべり台つきインフィニティプールなどが紹介されるなど、似た内容である様子がうかがえます。
さらに注目すべきは、どちらの番組も先日の番組改編説明会で、「今秋での終了」が正式発表されたばかりであること。もともと両番組は「複数の芸人を前面に押し出したバラエティ」「昨秋に局を挙げた大型番組としてスタート」という共通点もありました。
なぜ両番組はわずか1年で終了し、最後にこのような豪邸訪問企画、しかも西村社長宅という選択がかぶってしまったのでしょうか。
工夫を凝らすも週替わり企画が不発
あらためて振り返ると、『ジョンソン』はダウンタウンがメインを務め、TBSが「伝説的バラエティ」と自負する『リンカーン』の後継番組であり、『オドオド×ハラハラ』はお笑いフリークから絶大な支持を集める佐久間宣行プロデューサーを招へいした番組。前者は、かまいたち、モグライダー、見取り図、ニューヨーク、後者は、オードリー、ハライチという中堅のトップ芸人をそろえて、「看板バラエティとして長く放送していきたい」という狙いを感じさせました。
昨秋、『ジョンソン』は『リンカーン』の名物企画「芸人大運動会」でスタート。それ以降、週替わりのさまざまなロケ企画を放送していましたが、その中に2月26日放送の「億超えのお宝を探せ!豪邸トレジャーハンター」という豪邸訪問企画があったのです。
一方、『オドオド×ハラハラ』も佐久間プロデューサーらしいひねりの効いた企画を試したものの視聴率は奮わず、4月に木曜20時台から21時台へ移動。そこで「芸能人自宅横断ウルトラクイズ」という豪邸訪問企画がスタートし、メインコーナーとして放送されていました。
このようにどちらも今回の“にしたんかぶり”につながる経緯があり、さらに西村社長はハライチがMCを務める『ぽかぽか』のメインゲストとして出演するなど、メディア出演の多い人気経営者。また、「30億円」「完成したばかり」というインパクトも制作サイドが食いつきたくなるポイントでしょう。
そしてもう1つ重要なのは、サスペンスドラマ風のCMがおなじみであるように、にしたんクリニックを運営するエクスコムグローバルは各局にとって大切なスポンサーであること。西村社長は「戦略的に“出たがり社長”を演じている」というだけに、バラエティへの出演によって各局とウィンウィンの関係性を築けているのでしょう。