44番目に新設された相撲部屋として8人の力士を連れてスタートを切った中村部屋。部屋を率いる中村親方(元関脇・嘉風)の角界の慣習にとらわれない部屋運営や指導法に注目が集まっている。
朝起きればすぐに猛稽古、終わればちゃんこ。ちゃんこの後は昼寝、起きると夕食をとり、就寝する。1日2食、昼寝付きが従来の相撲部屋の1日だ。
ところが、中村部屋は1日3食、朝食から始まる。稽古も午前と午後の二部制を取り入れ、稽古は週休2日制。相撲を取る稽古も週3回までと制限している。中村親方の狙いはこうだ。
「体に栄養がある状態で体を動かすのがいいと考え、現役時代から1日3食でやってきた。部屋を持てば自分のルールで運営できる。その時は導入しようと思っていた」
朝7時、調理場に親方が立ち、力士8人分の朝食を作り始める。ブルーベリー、ナッツ、オーツ、プロテインなどを入れた特製スムージーだ。
「友風が中身を考えてくれた。うちの部屋はみんなで規律・常識を決めるのがルール。とはいえ相撲界は親方が絶対で、力士がイエスマン。その中でもなるべく力士が意見をいえる、それも番付に関係なしを目指している」
朝食後、掃除やゴミ出しで体を動かし、午前9時から稽古が始まる。この日は近くの隅田川の河川敷でのトレーニング。ランニングやダッシュ、トレーニング器具のラダー(縄梯子)を使っての瞬発系の運動で、たっぷり2時間汗をかいた。