芸能

東大在学時にアイドルイベントを主催した和田秀樹氏 当時中学生だった武田久美子を発掘「東大生の情熱が学園祭隆盛の先鞭をつけました」

「東大生が選んだアイドル」として話題になった武田久美子(1982年撮影)

「東大生が選んだアイドル」として話題になった武田久美子(1982年撮影)

 秋は学園祭の季節。キャンパスがアツかった1980年代から1990年代、大学の学園祭を盛り上げたのが女性芸能人だ。医師・作家の和田秀樹氏は東京大学在学時、アイドルイベントを手掛けた経験の持ち主。和田氏が当時を振り返る。

 * * *

 私が東京大学医学部に入学した1979年は、「東大生のアイドル」として山口百恵さんが売り出されていました。ところが翌80年に百恵さんが引退を表明すると、学生の間で「次はどのアイドルを応援するか」という話題で持ちきりになりました。侃々諤々話した末に、芸能事務所のタレントでなく自分たちで発掘しようということに行きつきアイドルプロデュース研究会を立ち上げました。

 主催した第1回「東大生が選ぶアイドルコンテスト」は約1000人の応募がありました。受賞者は音大生で歌のうまい人でしたが、残念ながらまったく売れませんでした。第2回は思い切りアイドルっぽい子にしようと考えて、選ばれたのが当時中学生だった武田久美子さんでした。

 彼女を売り出すために第1回と違って実にたくさんの企画を考えました。夏目漱石の小説にちなんだ本郷キャンパスの「三四郎池」に対抗して「久美子池」を駒場に作るとか、武田さんに東大で授業をやってもらうとか(笑)。

 しかし、近藤真彦さん主演映画『ハイティーン・ブギ』のヒロインに抜擢されて、すべて白紙になってしまいました。とはいえ知恵を絞っただけあって、ただの美人コンテストとは違う「本当に女優になれる」登竜門として認知されました。

 本来のプロデュースと違うかもしれませんが、学生が知恵を寄せ合えば、芸能事務所に頼らずとも面白いことをやれるという東大生の情熱が、その後の全国の学園祭の隆盛に先鞭をつけたと自負しています。アイドルであれ、音楽であれ、大人に押し付けられるのではなく自ら文化を生み出すという“気概”が、私たち当時の若者の根底にあったということに他なりません。

【プロフィール】
和田秀樹(わだ・ひでき)/1960年生まれ、大阪府出身。1985年に東京大学医学部を卒業。現在は川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師、和田秀樹こころと体のクリニック院長、立命館大学生命科学部特任教授。『受験は要領』(PHP文庫)、『ぼけの壁』(幻冬舎新書)など、著書は900冊を超える。

※週刊ポスト2024年9月20・27日号

関連記事

トピックス

吉本新喜劇の顔として活躍する島田珠代さん(撮影/井上たろう)
【吉本新喜劇の顔】島田珠代(54)が明かす「パンティーテックス」誕生秘話 「私のギャグは下品とは思っていない」「少女漫画のヒロインのように」の思い
NEWSポストセブン
登録者数80万人を超えるYouTubeチャンネル「みつともチャンネル」を運営する妻の幸巴さんと夫の光雄さん
《YouTuber年の差夫婦「みつともチャンネル」》“推し”の高校生アイドルとバツイチ男性が交際・結婚…妊娠した妻が振り返る「出会い」
NEWSポストセブン
NHK・東京アナウンス室の中川安奈アナウンサー(本人のインスタグラムより)
《裸に見える服》NHK中川安奈アナ、インスタ再開で見えた「フリーへの布石」突如出現したピンクのハートマーク
NEWSポストセブン
2
《2010年NHK紅白で『トイレの神様』熱唱の植村花菜》フルで9分52秒の名曲が7分50秒に縮小された理由「すべて歌えないのなら出場できなくても」
NEWSポストセブン
1986年 紅白歌合戦に急遽代打で出演した際の記者会見(時事通信フォト)
《布川敏和が語った還暦で『シブがき隊』再結成》解隊から36年「決定権はもっくんが握っている」「やっくんは同じ思い」の熱烈ラブコール
NEWSポストセブン
(写真提供/宮内庁)
〈伝統破りの経緯を宮内庁は説明せよ!〉とSNSで批判 秋篠宮一家が「半蔵門」を使用することは“不当行為”なのか 宮内庁は“問題ナシ”と回答
NEWSポストセブン
3人組「シブがき隊」もそのひと組。1988年に解散(解隊)後、俳優、タレントとして活動する布川敏和さん
《中森明菜が六本木のディスコで意外なおねだり》「元シブがき隊」布川敏和が告白「18歳で初めて助手席に乗せたのは小泉今日子ちゃん」、“花の82年組”の意外な距離感
NEWSポストセブン
自宅で亡くなっているのが見つかった中山美穂さん
【人生最後の取材】中山美穂さんが見せた孤独感…子育てのためにパリで引退決意も慰留「当初は会えていた」「離れていった母と子の心」創業事務所社長が明かす数々の恋愛と結婚生活
NEWSポストセブン
大谷翔平の伝記絵本から水谷一平氏が消えた(写真/Aflo)
《大谷翔平は「終わっていない」と言及》水原一平被告が迎える「一変したバースデー」“病気”で量刑言い渡しが延期中、真美子さんと交流あった妻は「絶対的味方」として付き添い
NEWSポストセブン
第1子妊娠を報告した大谷翔平と真美子夫人(時事通信フォト)
《真美子さんの前に『お〜いお茶』が…》大谷翔平が公開したエコー写真の米国事情、夫婦がシーズン中に見せていた“異変”「超速帰宅」「違う飲み物を口にして」
NEWSポストセブン
六代目山口組の餅つきに密着した
《六代目山口組の恒例行事・餅つき》「来いって言ってんだろ!アホんだら!」山口組“八代目”候補が声を荒らげた…「緊迫の一瞬」 PCR検査必須の厳戒態勢
NEWSポストセブン
自宅で亡くなった中山美穂さん
《『もう辞めたい』『私にはできない』中山美穂が泣いた日》14歳から39年見続けた“芸能界の父”が明かした素顔、「棺で眠る美穂はきれいでした」最期の別れ
NEWSポストセブン