芸能

Netflixドラマ『地面師たち』を観た元地面師が語った、実際の詐欺の現場とドラマでは何が違うのか

地面師グループに約55億円を騙し取られる詐欺事件がモデルだ(Netflix公式より)

話題を呼ぶNetflixのドラマ『地面師たち』(Netflix公式より)

 警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、世界的にヒットしているNetflixのドラマ『地面師たち』を視聴した元地面師が指摘する、現実の地面師との違いについて。

 * * *
「『地面師たち』、面白かった。人を殺しすぎだがね」と、かつて自身が地面師として暗躍した暴力団関係者Y氏は笑いながら話し始めた。「地面師が人を殺すことなんてない」という。

 綾野剛と豊川悦司がダブル主演を務める『地面師たち』(Netflixシリーズ)は、Netflixの日本トップ10ランキングで連続首位を更新している、今話題のドラマだ。原作は、不動産売買で巨額の金をだまし取る詐欺グループについて描いている新庄耕の『地面師たち』(集英社)。放映開始直後から、暴力団関係者の間でも話題になっていたという。

 ドラマのモデルとなったのは2017年に起きた「積水ハウス地面師詐欺事件」。東京都の五反田駅近くにある廃業した旅館の土地を巡って、大手ハウスメーカーとして知られる積水ハウスが、所有者を名乗るなりすましの女性ら詐欺グループに約55億円をだまし取られたという事件だ。事件発覚後、主犯格の1人、カミンスカス操こと小山操はフィリピンに高跳びし、当局に出頭して帰国するまでの様子がメディアで報じられた。この事件により”地面師”と呼ばれる詐欺師の存在が世間に知られるようになった。Y氏はこの地面師事件やカミンスカスをよく知る人物でもある。

「あの事件に、豊悦(豊川悦治)演じる大物地面師で黒幕みたいな者はいない。カミンスカスは強いていえば交渉役の綾野剛といったところだ。実際の事件の”登場人物”は小山(カミンスカス)や土井淑雄、首謀者といわれる内田マイク、その他を含めて17人が逮捕されている。誰がどの役どころに当てはまるかというのはないね。なりすまし役をスカウトする役割や、証明書や印鑑を偽造するなどの役割分担はあったと思うがね」とY氏。

 世間でも知られた事件だけに、取引に至った経緯や状況など公開された情報を題材にしているのだろうが、細かな点はドラマがリアルに見えるよう誇張されて作られたものだとY氏はいう。

 では、地面師による詐欺の現場とドラマでは何が違うのか。

今の地面師はただの詐欺師

「あの事件以降、警戒されるようになったようだが」とY氏が前置きしたのは、ドラマにあった身分証明書の確認方法だ。「パスポートにライトを当てたり、免許証などに裏から光を当てて透かし、ICチップの確認をしていたが、あんなことはしなかった」という。「そもそもなりすましのパスポートなんて、本物と見比べないとわからない」と軽く笑い声を立てる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

山口組分裂抗争が終結に向けて大きく動いた。写真は「山口組新報」最新号に掲載された司忍組長
「うっすら笑みを浮かべる司忍組長」山口組分裂抗争“終結宣言”の前に…六代目山口組が機関紙「創立110周年」をお祝いで大幅リニューアル「歴代組長をカラー写真に」「金ピカ装丁」の“狙い”
NEWSポストセブン
「衆参W(ダブル)選挙」後の政局を予測(石破茂・首相/時事通信フォト)
【政界再編シミュレーション】今夏衆参ダブル選挙なら「自公参院過半数割れ、衆院は190~200議席」 石破首相は退陣で、自民は「連立相手を選ぶための総裁選」へ
週刊ポスト
Tarou「中学校行かない宣言」に関する親の思いとは(本人Xより)
《小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」》両親が明かす“子育ての方針”「配信やゲームで得られる失敗経験が重要」稼いだお金は「個人会社で運営」
NEWSポストセブン
中居正広氏と報告書に記載のあったホテルの「間取り」
中居正広氏と「タレントU」が女性アナらと4人で過ごした“38万円スイートルーム”は「男女2人きりになりやすいチョイス」
NEWSポストセブン
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波も(マツコ・デラックス/時事通信フォト)
『月曜から夜ふかし』不適切編集の余波、バカリズム脚本ドラマ『ホットスポット』配信&DVDへの影響はあるのか 日本テレビは「様々なご意見を頂戴しています」と回答
週刊ポスト
大谷翔平が新型バットを握る日はあるのか(Getty Images)
「MLBを破壊する」新型“魚雷バット”で最も恩恵を受けるのは中距離バッター 大谷翔平は“超長尺バット”で独自路線を貫くかどうかの分かれ道
週刊ポスト
もし石破政権が「衆参W(ダブル)選挙」に打って出たら…(時事通信フォト)
永田町で囁かれる7月の「衆参ダブル選挙」 参院選詳細シミュレーションでは自公惨敗で参院過半数割れの可能性、国民民主大躍進で与野党逆転へ
週刊ポスト
約6年ぶりに開催された宮中晩餐会に参加された愛子さま(時事通信)
《ティアラ着用せず》愛子さま、初めての宮中晩餐会を海外一部メディアが「物足りない初舞台」と指摘した理由
NEWSポストセブン
「フォートナイト」世界大会出場を目指すYouTuber・Tarou(本人Xより)
小学生ゲーム実況YouTuberの「中学校通わない宣言」に批判の声も…筑駒→東大出身の父親が考える「息子の将来設計」
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信)と妊娠中の真美子さん(大谷のInstagramより)
《妊娠中の真美子さんがスイートルーム室内で観戦》大谷翔平、特別な日に「奇跡のサヨナラHR」で感情爆発 妻のために用意していた「特別契約」の内容
NEWSポストセブン
沖縄・旭琉會の挨拶を受けた司忍組長
《雨に濡れた司忍組長》極秘外交に臨む六代目山口組 沖縄・旭琉會との会談で見せていた笑顔 分裂抗争は“風雲急を告げる”事態に
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
「週刊ポスト」本日発売! 中居トラブル被害女性がフジに悲痛告白ほか
NEWSポストセブン