6年前の“魔人ブウ”のコスプレ姿(朝日新聞社/時事通信フォト)

6年前の“魔人ブウ”のコスプレ姿(朝日新聞社/時事通信フォト)

 夫は他の男子生徒とは一風違う雰囲気がありました。当時、ジーンズや『アイビールック』ファッションが流行っていたのですが、彼はいつもきちんとシャツにネクタイ、ジャケットを着ていて、真面目そうなかただと思いました。

 よく覚えているのが、勉強会でわざわざみんなの分のドーナツを用意していたこと。男女問わず親切でしたから、人気者だったようですよ」(佳子さん、以下同)

 友人として付かず離れずの大学4年間を過ごしたふたり。卒業式の後、石破氏は思い切って「結婚を前提としてつきあってほしい」と告白した。しかし、佳子さんの返答は「ごめんなさい」だった。

「当時、彼は銀行への就職が決まっていました。告白されたとき、“学者や弁護士を目指していたけど、君と結婚するために、安定した道を選ぶよ”と言いたげな雰囲気を感じたんです。当時は女性への社会の門戸は狭く、就職しても一般職しかない時代。男性は何にでも挑戦できて羨ましかった。“結婚したいからといって、やりたいことを諦めるのは、やめてほしい”という気持ちから交際を断りました」

 石破氏は大手銀行、佳子さんは総合商社に就職。一度は疎遠になったが、1981年に石破氏の父で参議院議員の二朗氏が亡くなり、佳子さんが友人たちと連名で香典を送ったことをきっかけに、ふたりは再び連絡を取り合うようになった。

「駆け出しの銀行員だった彼は、『定期預金口座の新規開設』の営業ノルマがあったようなんです。それで私に“口座を作ってもらえないか”と連絡がきて、ランチをしました。今思い返せば、口実だったのかもしれません(笑い)。でも、学生時代から頼りになる人だったので、そうして会って仕事の悩みを話すうちに、打ち解けていきました」

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