韓国や中国などのアジアコスメが新たなトレンドとして存在感を示している。矢野経済研究所が9月18日に日本国内の化粧品の調査結果の中で大きなトレンドとして報告した。
タイのコスメも人気に
国内化粧品市場はコロナ禍の2020年度に大きく落ち込んだが、その後、徐々に回復してきた。矢野経済研究所の最新調査によれば、2023年度の日本国内の化粧品市場規模は2兆4780億円に達し、前年度比で104.6%の成長を達成したと予測された。
※化粧品市場は、スキンケア、ヘアケア、メイクアップ、男性化粧品、フレグランス化粧品から構成されている。
そうした中で、人気を急拡大させているのがアジアコスメだ。同研究所の調査によると、2023年度は韓国や中国を中心としたアジア各国からの化粧品の輸入が増加し、日本国内のアジアコスメへの支持が高まっている。このようなアジアコスメの人気の影響もあり、2023年度のメイクアップ市場は前年比で4.6%増加して4650億円となっている。
同研究所によると、韓国コスメは2023年に輸入金額で959億6200万円に達し、前年比123.8%という大幅な増加を記録した。これはフランスを抑えて国別で1位に立つ結果となった。また、中国からの輸入も前年比116.9%で498億5300万円と順調に伸びている。タイのコスメも7.3%増加。台湾のブランドは2%減少したものの一定の支持を集めている。
美容に新しいトレンド
ヒフコNEWSで伝えているように、以前から韓国コスメに代表されるKビューティーは、スキンケアやメイクアップの両分野で独自のトレンドを発信し、世界的な人気を博している。動画やSNSなどで海外の美容に触れる機会が増え、コストパフォーマンスにも優れていることで、手に取る人が増えていると考えられる。
ヒフコNEWSが富士経済の調査からコスメのトレンドをまとめているが、その調査では次のようなポイントが挙げられている。
需要が伸びた商品:ファンデーション、メイクアップベース、リップカラー、アイメイク
人気アイテムの特徴:ロングラスティング効果、つや感、色味を重視
高価格帯アイテムの人気:韓国コスメやインフルエンサーブランドで複数色を購入する傾向
ポイントメイクのトレンド:リップグロスでのつや感、眉メイクは「うす眉」が主流
ポストコロナとアジアコスメの掛け合わせで新たなトレンドが生まれている部分がありそうだ。
今後も、韓国を中心とするアジアコスメの人気は続くと予測される。矢野経済研究所の予測では、2028年度には国内化粧品市場がさらに成長し、2兆7400億円に達する見込みだ。
アジアコスメの存在感は一層増す可能性もある。美容の方向性を考える上で、アジアコスメの動向は見逃せない。
参考文献
国内化粧品市場は回復基調が鮮明に、特にメイクアップやフレグランス市場の伸びが顕著に~2023年度の国内化粧品市場規模は前年度比104.6%の2兆4,780億円~
コロナ・パンデミックが世界の美容を変えた、その背景に韓国美容のトレンド
メイクアップ化粧品、コロナ前水準への回復続く、つや感や色味に関心、ボディケア製品も旅行やレジャーなどで人気高まる、富士経済がトレンド分析
美容液とシートパックに使われるスペシャルケアのお金が増加、背後にあるトレンドとは、美容医療への関心も影響、富士経済が2023-24年を分析
オーガニック美容品市場拡大中、DTCからブランド直営店での新たなトレンド、矢野経済研究所の報告
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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