中国の北京で2018年12月10日に逮捕されて以来、1019日間にわたって中国の刑務所に収監されていた元カナダ外交官、マイケル・コブリグ氏が、9月23日に放送されたカナダ放送協会(CBC)のインタビューで、収監生活について帰国後初めて語った。最初の半年間は独房生活を強いられ、日の光を見ることができず、拷問に近い取り調べを受けるなど「地獄のような生活だった」ことを明らかにした。
コブリグ氏は、妊娠6カ月のパートナーと一緒に食事から帰宅した際、待ち構えていた中国の警察官らにスパイ容疑で逮捕され、その後生まれた娘の誕生の瞬間にも立ちえなかった。
コブリグ氏が逮捕される直前の12月1日、カナダは米国の刑事共助要請に応えて、中国大手通信機器メーカーの華為技術(ファーウエイ)の最高財務責任者(CFO)だった孟晩舟氏を拘束した。中国政府は10日、その報復として、コブリグ氏と北朝鮮で活動していたカナダ人コンサルタント、マイケル・スパバ氏を逮捕したとみられている。
コブリグ氏は独房生活について、「国連の基準では、独房監禁は連続15日以内で、15日を超えると心理的な拷問とみなされるが、中国ではほぼ半年間の独房生活を強いられた」と述べている。
毎日6時間から9時間の容赦ない尋問が続き、尋問中は、背もたれの高い木製の椅子に縛り付けられ、足を組んだり姿勢を変えたりすることは許されなかったという。尋問への回答を拒否すると、食事は与えられなかったという。
また、独房には一切、日光がささなかったが、蛍光灯が24時間点灯していて、寝るのも困難な状況で、この6カ月間が彼の人生のなかで最も苦痛な時間だったという。
この間、コブリグ氏はヨガをしたり、瞑想したりして独房生活を耐え抜き、約半年後、通常の大きな監房に移された。そこでようやく太陽を浴びることができたという。2021年9月25日、孟晩舟氏が釈放される同時に、コブリグ氏とスパバ氏も釈放され、コブリグ氏は同日、カナダ・トロント国際空港に降り立ち妻との再会を果たした。
中国とカナダの外交関係はこれらの事件をきっかけに最悪の状況に陥っており、関係改善の動きは一部であるものの、いまだ冷えきったままだ。