昨年8月に埼玉県三郷市の運送会社「AKトランス」敷地内で、同社を経営していた大川幸一郎さん(52=当時)を包丁で複数回突き刺して殺害した自称アルバイトの内田洋輔被告(30)に対する裁判員裁判が今年9月6日にさいたま地裁で開かれた。懲役17年の判決が言い渡されたものの、内田被告は判決を不服として控訴を申し立てており、今後、東京高裁で公判が開かれることになっている。
法廷で内田被告は「借金返済要求が厳しくなり、自分が逃げても親に請求が行くだけ。やられる前にやるしかない」などと主張していたが、地裁判決では「やられる」心配などなかったことが明らかになっている。
また「大川さんの事務所にはドスや警棒が並べられてあった」とも証言していたが、実際には大川さんの自宅からも会社からも凶器は見つかっていない。つまり男は法廷で嘘をついていたことになるが、逮捕後の留置場では「港区女子を囲っている」などといった“不可解な話”を同室の者に聞かせていたという。警察署で43日を内田被告ともにした男性・B氏が詳細を語った。
内田被告は犯行直後、自宅に近い川口警察署に出頭し逮捕された。以降、身柄拘束が続いている。被告の身柄は一時期、吉川警察署の留置場にあったが、そこで同室だったのがB氏だ。B氏に対し内田被告は、自らが殺人を犯したことを隠していたという。
「内田は自分のことを“過去に暴力団に所属していた、特殊詐欺の親玉”だと言い、今回の事件については頑なに語らず、被疑事実に触れようとすると、はぐらかすことばかりでした」(B氏、以下同)
内田被告には少年時の覚醒剤取締法違反や傷害など複数の前歴があるほか、特殊詐欺による二度の服役前科がある。しかし、直近前科の特殊詐欺では「リクルーター兼指示役」とみられており、“親玉”ではない。
また、内田被告は「東麻布に自宅があり、1500万円から2000万円の貯金がある。兄貴分や仲間が待ってくれていて、その仲間が親にお金を送ってくれる」「保釈金1000万円程だったらなんとか自分で用意できる」などB氏に話していたというが、実際は大川さんへの借金が300万円あり、金はなかった。