憲政史上最も長く首相を務めた政治家、「安倍晋三」の名前が、ひっそりと商標登録された。9月24日付で特許庁により「安倍晋三」の商標の登録査定が出たのだ。商標登録を出願していたのは、妻の昭恵さん(62)だった。
「登録査定とは、特許庁が出願された商標登録について、審査後、登録を認める旨を通知することです。その後、出願人により所定の登録料が納付されれば、商標権が発生します。審査の経過や結果は特許庁がインターネット上でも公開しています」(商標権に詳しい弁理士)
昭恵さんが《商標 安倍晋三》《称呼 アベシンゾー》の商標登録を出願したのは昨年6月のこと(翌7月に商品・役務を追加で出願)。安倍氏が奈良市内での街頭演説中に凶弾に倒れた翌年のことだった。
「出願から登録査定まで1年以上というのは通常よりも多少時間がかかった印象です。『安倍晋三』という大きな名前だけに、特許庁も慎重に審査したのかもしれません。登録査定の翌日(9月25日)に登録料が納付済になっていたので、昭恵さんを権利者とする商標権が発生することになります。昭恵さんは『安倍晋三』という名称を、出願時に指定していた商品やサービスの範囲(商品及び役務の区分並びに指定商品又は指定役務)で独占的に使用できることになります」(前出・商標権に詳しい弁理士)
昭恵さんが出願した商標登録の範囲は、商品では電子出版物、印刷物、飲食物など、サービスではソーシャルネットワーキングサービス(SNS)の提供や政治的なロビー活動など、多岐にわたる。
悲劇から2年以上が経った現在も、昭恵さんは夫を偲ぶ日々を送っている。
「昭恵さんは安倍さんの地元・山口県下関市を頻繁に訪れ、夫の墓参りや地元のイベントに参加しています。下関でふぐ料理店もオープンして、市内にあった安倍家の邸宅も昭恵さんが相続しました。都内の自宅で同居していた義母の洋子さんが今年2月に95才で亡くなり、今後は下関に本格的に移住する可能性もある。ただ、今のところはまだ、夫婦で長年暮らした東京の自宅を離れられないそうです」(昭恵さんの知人)
そうした夫を想う気持ちが、商標登録の出願に繋がったのかもしれない。その真意について聞くため、昭恵さんにメールを送ったところ、滞在中のフィリピンから次のような返信があった。
「主人の名誉を守り、名前を悪用されることがないように、念のため商標登録したもので、登録査定となってホッとしています。特に使用を制限するつもりはありません」
生前、フィリピンと友好な関係を築いた安倍氏がこのたびフィリピン日本協会から表彰されることになり、昭恵さんは現地で式典に出席していたという。
安倍氏が歴史に名を残した政治家であることは間違いない。これからも「安倍晋三の妻」として、昭恵さんの人生は続いていくのだろう。