しかし今や実行犯は使い捨ての時代だ。高額の報酬を餌に実行犯を募集する闇バイトが横行し、互いに素性の知らない者同士が集まり強盗や窃盗を行い、離散していく。世の中は空前の人出不足だというのに、手軽に簡単に高い報酬が手に入ると短絡的に信じてしまうのか、バイトに応募する若者は後を絶たない。メディアでも散々報じられているにも関わらず、新しい事件が次々と起こり、新たな容疑者が逮捕されていく。
高額報酬を謳うSNSのバイト募集
SNSで呼びかければ、報酬につられた若者が無防備に集まってくる。そんな時代を象徴するような事が、先日、東京・有明の東京臨海広域防災公園であった。9月29日のFNNプライムオンラインで放送された特集追跡ニュース記者の目、『【独自】「デモ参加に1万円」”サクラ募集”に数千人が殺到 報酬受け取った参加者も…若者に広まった情報はデマか本当か』に詳しいが、この日、有明でコロナワクチン反対を主テーマとするデモが行われたのだ。
過去にも何回か開催されているデモだというが、参加者によると今回は様相が違ったという。広々とした防災公園に集まった数千人の若者たちは、SNSで拡散された「緊急募集。歩くだけで1万円」などのバイト募集を見てきたといい、誰が動員をかけたのか、誰が金を払うのかすら、ほとんどの者は知らなかったらしい。主催者側もサクラの募集はしておらず、デモ参加で報酬を出すというのは事実無根と否定。記事によると、一部風俗店のスカウトから話をもちかけられたというグループでは金が手渡されたとあるが、支払い元は不明。他の者はデマに踊らされただけだった。
後日、この場にいたという者に話を聞くことができた。彼によると「バイト募集を見てきたという若い女子が、ホストみたいな男に何処かに連れていかれたり、免許証の両面を写メで撮って送っていたりしていた」という。露木康浩警察庁長官は、新宿歌舞伎町を視察した際、「女性に借金を負わせて売春をさせる卑劣な営業手法を取り締まる」「悪質ホストクラブの背景にもトクリュウの関与があるのではないか」とコメントしている。誰かが、集めた若者の中から目ぼしい子をスカウトしたり、闇バイトにつながりそうな者を物色していたのだろうか。
トクリュウとつながる可能性がある高額報酬を謳うSNSのバイト募集。うまい話には裏があると言っても、応募してしまう者はいる。特殊詐欺対策には声が録音される可能性のある留守番電話が効果的というが、闇バイト対策に危険なSNSメッセージを警告としてくれるようなアプリが開発されることを願っている。