香港では人口のほぼ5分の1に当たる約139万人が貧困層に当たることが国際的な人権NGO「オックスファム・インターナショナル」の最新報告「香港貧困レポート2024」によって明らかにされた。中国共産党の支配を嫌って、多くの市民が海外に移住する一方、残された高齢者層は収入も少なく、生活環境が一段と厳しくなっていることが要因の一つとみられる。
同団体は貧困と不正を根絶するために世界各地で持続的な支援・活動をする国際人権団体で、世界17の国・地域に拠点を置き、主に貧困層への支援を90カ国以上で展開している。
同団体が香港の国勢調査統計局のデータなどを分析したところによると、香港の貧困層は今年第1四半期には全人口のほぼ20%の139万人で、2019年の同時期から42.9%増加。「貧困世帯」の数も同22.7%増の61万9000世帯に達しているという。
“貧困”に分類する基準は、単身世帯では月収が5000香港ドル(約9万6000円)以下で、2人世帯は同11300香港ドル(21万6900円)以下としている。
香港では貧富の差も拡大しており、最貧困層10%の収入の中央値は、コロナ前の2019年以降半分以下になっており、月額1600香港ドル(3万720円)にまで落ち込んでいる。最富裕層世帯の中央値は同じく12万香港ドル(231万円)から13万1000香港ドル(242万円)に増え、その差は80倍以上に拡大している。報告書では貧困層として1人暮らしの高齢者の数が増加していると指摘している。
香港の消費者物価指数は上昇傾向にあり、香港政府は8月の消費者物価指数が2.5%上昇したと発表するなど、貧困層の暮らしは日々苦しくなっている。
このため、オックスファム・インターナショナルは香港政府に対して、急速に高齢化が進む中、高齢者が無理なく働ける雇用を増やすための補助金など生活改善のための措置を講じるよう求めるとともに、貧困世帯のために生活費の補助などを重点施策とすべきだと提言している。