ライフ

嬉しかったにせよ残念だったにせよ、衆院選の結果を賢そうに語る方法

時事通信フォト

政権の行方は(時事通信フォト)

 混迷の選挙となることは確実である。コラムニストの石原壮一郎氏が考察した。

 * * *
 けっこういきなりではありました。石破茂首相が正式に首相に就任する前から宣言していた衆議院の解散と、その結果の衆院選の投開票が、10月27日に行われます。どんな結果になるか、これを書いている今の時点ではわかりません。嬉しい結果と受け止める人もいれば残念な結果と受け止める人もいる状況になるのは、どう転んでも確実です。

 開票が終わったあとで、選挙の結果についてどう語ればいいのか。選挙に限らず、私たちが政治の話題を口にするときは「意識が高い人に見られたい」「気の利いたことを言う人と思われたい」という“邪念”が付いて回りがちです。しかし、なかなか思惑通りにはいきません。自分ではいいことを言ったつもりでも、「うわ、うっとうしい」「この人、大丈夫かな?」とマイナスの印象を与えてしまうケースもよくあります。

 自分の立場やそれぞれの結果別に、株を上げる語り方と株を下げる語り方を考えてみましょう。

【野党を応援していて「嬉しい選挙結果」になった場合】

「ざまあみろ、自民党。国民を舐めるな!」ぐらい言いたい気持ちになりそうです。しかし、どんな場合にせよ、負けた相手に石を投げるのは慎みたいところ。「やっと目を覚ました人がたくさんいてよかったよ」も、一段高い場所から「一般大衆」を見下している気配が漂っていてイヤな感じです。

 それよりも、あえて控え目に「今回ばっかりは、これまでと雰囲気が違ったもんね」ぐらいの言い方をしたほうが、情報感度が高くて実は深い見識があるように聞こえるでしょう。「大事なのはこれからだけどね」と勝って兜の緒を締める的な姿勢を見せることで、株を上げてしまうのもオススメ。また、これまでに自民党が重ねてきた“悪事”を勢いよく責めたくなったとしても、いったん落ち着いたほうが効果的な批判になりそうです。

【野党を応援していて「残念な選挙結果」になった場合】

「今回ばっかりは日本国民に心底ガッカリしたよ。みんなプライドがないのかな」ぐらい言いたい気持ちになるかもしれません。しかし、自分とは考えが違う人を「救いがたい存在」のように言ってしまうのは、いささか傲慢。「日本はもう終わったね」と極度に悲観的になるのも、「絶望している俺、カッコイイ」というカッコ悪い魂胆が透けて見えます。

 嘆いたり誰かのせいにしたりするのではなく、いったんは結果を真摯に受け止めましょう。「残念な結果だったけど、とりあえずは自分の日常を全力でやっていくしかないよね」と前を向いている姿勢を見せることで、大人の知性や貫録を示せそうです。あるいは「SNSを見てると間違いなく圧勝だと思ったんだけど、世の中はいろいろなんだね」と、情報源によるバイアスについての実感や発見を語ってみるのも一興かも。

【与党を応援していて「嬉しい選挙結果」になった場合】

「ざまあみろ。あんなヤツらが重箱の隅をつついたって痛くもかゆくもないよ」と、ドヤ顔で言いたくなるかもしれません。しかし、嬉しい結果になったからと調子に乗って、考えが違う相手を雑魚扱いするのはかなり恥ずかしい所業。ここぞとばかりに得意気な態度を取れば取るほど、「虎の威を借るのが好きなちっちゃいヤツ」という印象も与えます。

 喜びはなるべく顔に出さず、安堵の表情で「正直、今回は危ないと思ったけど、最後の最後で国民の良識が発揮されたってことかな」と控え目な言い方をしたほうが、人間としての奥行きがあるように見えるでしょう。「キレイごとじゃメシは食えないからね」と静かに呟いて、酸いも甘いも噛み分けた人のフリをする手もあります。ただ「さんざん汚いことをされてるけど、その恩恵って何かある?」と言われたら、返す言葉がありません。

関連記事

トピックス

女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(左/時事通信フォト)
広末涼子の父親「話すことはありません…」 ふるさと・高知の地元住民からも落胆の声「朝ドラ『あんぱん』に水を差された」
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま、入学式で隣にいた新入生は筑附の同級生 少なくとも2人のクラスメートが筑波大学に進学、信頼できるご学友とともに充実した大学生活へ
女性セブン
漫画家・柳井嵩の母親・登美子役を演じる松嶋菜々子/(C)NHK 連続テレビ小説『あんぱん』(NHK総合) 毎週月~土曜 午前8時~8時15分ほかにて放送中
松嶋菜々子、朝ドラ『あんぱん』の母親役に高いモチベーション 脚本は出世作『やまとなでしこ』の中園ミホ氏“闇を感じさせる役”は真骨頂
週刊ポスト
都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
人気のお花見スポット・代々木公園で花見客を困らせる出来事が…(左/時事通信フォト)
《代々木公園花見“トイレ男女比問題”》「男性だけずるい」「40分近くも待たされました…」と女性客から怒りの声 運営事務所は「男性は立小便をされてしまう等の課題」
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト