「国民の体感治安に大きく影響を及ぼしている。最も重要なことは首謀者を一刻も早く逮捕することだ」──10月24日、警察庁の露木康浩長官は定例記者会見で、首都圏で相次ぎ発生する「闇バイト」による凶悪な強盗事件に言及し、強い言葉で決意を新たにした。
「10月15日、横浜市青葉区の住宅で、後藤寛治さん(75)が闇バイトに応募した宝田真月容疑者(22)らに殺害され金品を奪われるという悲惨な事件が発生しました。17日の未明には千葉県市川市の住宅が襲われ、一人でいた住人の女性(50)が暴行を受けた上、拉致、監禁され、直線距離で40キロ以上も離れた埼玉県川越市の宿泊施設で保護されるという事件も発生しました。女性は、寝込みを襲われ、顔を殴られたほか全身を打撲する大けがを負っていました」
安全なはずの自宅を襲われて、あろうことか殺害されるという事件まで発生しており、露木長官が訴えたように首都圏の「体感治安」は非常に悪化しているといえるだろう。各警察本部は連携して、「闇バイト」に応募した実行犯ら計35人以上をこれまでに逮捕した。首謀者の行方を追っているが未だに逮捕には至っていない。
女性が襲われて監禁された千葉県市川市の住宅は、周囲を畑やビニールハウス、運送会社の倉庫などに囲まれ、他に民家はない。人通りもなく、車が通ることもまばらだ。また自宅の庭は、柿の木が茂っており、外から見えにくい。犯人らの侵入経路である東側の窓はネットに囲まれたリンゴ畑らしき畑に囲まれており、全く外から見えない。 記者は被害女性の母親に取材した。
「娘の容態は、お陰様で良くなっています。『なんでこんな目に遭わないといけないのか』と怒っていました。これから、また娘のいる病院に行きますので……。これまで物騒なことはなかったです。街灯もありますし、車通りもあるから。ただ、住宅はうち以外にまったくないからね……」
事件直前に何か不審なことはなかったのだろうか。
「わからないです。ただ、警察からは事件の1時間前に3人が深夜に自宅付近にある防犯カメラに映っていたって聞きました。なんでこんなことになってしまったのか……」