中国内モンゴル自治区で、2億1500万元(約46億円)の建設費を投じて作られた長距離バスターミナルが開業したが、利用客ゼロの状態が続いている。中国では高速鉄道駅のうち、施設は完成しているものの未使用、もしくはいったん開業したものの閉鎖されている駅が少なくとも26カ所存在している。高速鉄道の「幽霊駅」は話題だが、バスターミナルの幽霊駅の例が伝えられるのは珍しい。インターネット・ニュースサイト「澎湃新聞報」が報じた。
この長距離バスターミナルは「内モンゴル自治区烏海(うかい)旅客輸送ハブステーション」で烏海市内に2020年末に完成した。完成当初は新型コロナウイルスが流行しており、感染が落ち着いてきた2022年末ごろまで臨時の医療施設として利用され、その後、バスターミナルとして営業を開始した。
同市は同自治区の西側に位置し、市の中央に黄河が流れており、大型炭鉱が主な産業で、人口の大部分は中国各地からの移民が占めており、主に炭鉱で働いていることから、建設を推進した市政府では住民の帰省などでのバス利用を見込んでいた。
しかし、人口は約55万と少なく、ほとんどの住民が自家用車を所有していることに加えて、ターミナル周辺に主要な観光施設がないため、同自治区以外からの観光客はほとんどいない状況だ。
また、建設当初に医療施設として代替利用されたといった特殊事情に加えて、都市中心部から遠く立地が悪いこと、ターミナル周辺の商業施設や交通インフラの不足なども幽霊駅化している原因と指摘されている。