総選挙の最大の注目選挙区となったのが「二階王国」と呼ばれた和歌山2区だった。二階俊博・元自民党幹事長が引退して後継者の三男・伸康氏が出馬し、当初は当選確実と見られていた。ところが、裏金問題の処分を受けて自民党を離党した和歌山の実力者、世耕弘成氏が参院から鞍替えして無所属で出馬すると情勢は一変。盤石に見えた伸康氏の地盤はどんどん切り崩され、大差で敗北。比例復活も果たせず落選となった。
王国の落城前日、劣勢が伝えられるなか、それまで一度も地元入りしていなかった父・俊博氏が支援者との決起集会に現われ、声を震わせながら息子への支持を訴えた。本誌は俊博氏の“最終日の姿”を捉えた。
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〈投票箱のふたが閉まるまで、……〉ステージ上にはそう書かれた大きな看板が掲げられている。ギリギリまで票集めをしたいという切羽詰まった情勢がにじみ出るようなスローガンだ。
館内では、「まだ勝ってはいません! ギリギリの戦いです! どうか、お手元の携帯で知人・友人に、二階伸康への投票をお願いしてください!」と何度もアナウンスが繰り返されていた。
選挙戦最終日の10月26日午後19時30分、和歌山県の御坊市民文化会館で開かれた伸康氏の決起集会には約200人(定員は900人)の支持者が集まっていた。候補者の伸康氏が選挙運動を支えてくれた選挙ボランティアに御礼を伝え、投票を最後の最後まで訴えるために開いたもので、ステージ上には揃いの青いシャツを着た50人ほどの選挙スタッフが並び、演壇の横にタスキ、鉢巻き姿の伸康氏が立つ。