2018年に山口県で行方不明になった2歳児を発見して時の人となったのが、ボランティア活動家の尾畠春夫さん(85)。
以来、“スーパーボランティア”と呼ばれるようになった尾畠さんは2020年に緑綬褒章を受章、各地で講演会などに引っ張りだこになっていた。
だが、今年3月、NEWSポストセブンの取材に対して「85歳がボランティア活動の一区切りで、ほかにやりたいことがある」と“引退”を予告。
尾畠さんは10月12日で85歳を迎えた。宣言通りに引退するのか。大分に住む尾畠さんの元を訪ねた。
近況を聞くと、「普段は海岸清掃を4時間行ない、毎日7kmは歩いてます。体力の衰えはまったくないですよ」(尾畠さん、以下同)との答えだったものの、年齢を重ねるなかで大病も患ったという。
「昨年の5月に緑内障の影響で右目が見えなくなり、右耳も聞こえなくなりました。その時に検査したらがんが分かり、胃を摘出しました」
やはり85歳の節目に引退をするのか。そう問うと、満面の笑みで「ボランティアは引退しません」と応じ、その理由をこう説明した。
「私は10歳から15歳まで奉公に出ていて学校に行けなかったから、ずっと『中学生』に憧れていた。85歳でボランティアを減らして、山を越えたところにある夜間中学に通おうと思っとった。だけど開校が2年延長して、もう少しボランティアを続けないかんなと。
そうなるとやっぱり、あと15年、100歳までは最低でも続けたいと思うようにもなった。夢は130歳まで生きることですわ」
前言撤回の「生涯現役宣言」だった。
※週刊ポスト2024年11月1日号