中国で金を使った宝飾品の売り上げが昨年に比べて大幅に減少しており、中国に出店している香港の宝飾品専門店「周大福」は、今年上半期だけで180店舗が閉店、同じ香港の専門店「六福珠宝」も今年4月から6月の3か月間で102店舗が閉店に追い込まれた。この背景には金価格の高騰に加えて中国の経済成長の鈍化があるようだ。香港紙「星島日報」が報じた。
金の価格は今年初めから国際的に高騰しており、中国では金1グラム当たり700元(約1万5000円)を超えるなど過去最高値を記録。これに伴って、金を使ったアクセサリーなどの宝飾品も値上げされており、庶民には手の届かない値段になっている。業界関係者の間では、金の宝飾品市場では、特に結婚式以外の宝飾品の需要はほとんどなくなっているという見方が強い。
このため、周大福など金製品専門店では金1グラム当たり50元(約1070円)から80元(約1710円)の幅で値引きなどもしているが、それも焼け石に水で、中国の店舗を閉店せざるを得ない状況だ。
金産業の国際貿易協会「ワールド・ゴールド・カウンシル」によると、中国の宝飾品消費量は今年上半期で270トンと昨年同期比18%の減少。 第2四半期(4月~6月)だけではわずか86トンだけで、前年同期比で35%減と大幅に減少したという。
この背景には、不動産を中心とした中国経済の不振があるようだ。不動産は中国経済のけん引役であり、不動産開発の進行状況や住宅の売れ行きが建築資材や家具・家電など広範な産業に影響を与えるが、このところ景気の先行きに不透明感が広がっており、市民の財布のひもも固くなり、金製品のような高級品の消費も伸び悩んでいるようだ。