放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は、大好きなロバート秋山竜次と、働き過ぎな後輩、宮藤官九郎について綴る。
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妻は律儀に毎週大河ドラマを見ているが私は今シリーズ見てない。で、食事の時なぞ「どうだった今週の“光君へ”は?」ときくと必ず「爆笑問題に手紙出してんじゃないんだから。太田光クンが大河になる訳ないでしょ。『光る君へ』よ」と訂正される。
「あなたの大好きなロバートの秋山君が出てていいのよ」「あんな時代にあんな大きい奴いないだろ。みな白っぽいんだろ。あんな黒々としてる黒光りの人、歴史上いないだろ。秋山主演で“てかる君へ”ってどう?」無視された。
若い頃はさんまちゃんぐらいしか吉本の人と仕事をしてなかった気がする。ほとんどが関東圏の芸人達だ。それが“秋山が大好き”と言ったら私のラジオ番組にたて続けに吉本の人がゲストで来るようになった。『極悪女王』でゆりやんレトリィバァ、中川家、そして遂に秋山がやってきた。この男の発想、アイディア、思い付きにはただならぬものがある。
よくご存じの、様々なキャラクターになり切るシリーズなどの他に深夜“テレ東”でやっていた『秋山ロケの地図』。ゆがんだ性格がもろに出て素人とからみ合うのが妙におかしかった。が、唐突に先日深夜終わった。愚痴ッてたらゴールデンの特番でO・Aされた。以後不定期にやるらしい。
初めて会って私の第一声が「で、で、でかいな。黒すぎちゃって困るだろ!」。たくさんのタレントに会ってきたが、これほどファーストインパクトが強い人は初めてだ。おなじみのTシャツ裏返して梅宮辰夫、舌ベロベロ。新バージョンを見せてくれて裏返すと大谷翔平。私はすかさず言った。「それ“デコピン”にして舌ベロベロ、イジリー岡田みたいにしたら面白いよ」「頂きます」とメモッていた。
エンタメの世界で今年最も働いたのは宮藤官九郎だろう。コロナの時に作って、やっと今年O・Aという作品もあるだろうがもの凄い。クドカン周辺の人が送ってくれるのだが、今年O・Aされ話題となったシナリオがキチンと単行本化されている。『不適切にもほどがある!』(4月)、『季節のない街』(4月)、『新宿野戦病院』(9月)、『終りに見た街』(9月)。どれもこれもホームランというフリーマン並みである。
そこへ来年1月公開の映画、菅田将暉主演『サンセット・サンライズ』。生でクドカンのコントが見たいという人は11月7日から12月15日、ザ・スズナリ(大阪へも行く)の『ウーマンリブvol.16』。「作・演出・主演」クドカン。片桐はいり、勝地涼、皆川猿時ほか。チラシに「コント6本がちょうどいい」とある。働きすぎ。
※週刊ポスト2024年11月22日号