今年で結成35周年を迎えた、吉田美和(59才)と中村正人(66才)からなるバンド「DREAMS COME TRUE」。ドリカムが手掛けてきた数多くのドラマ主題歌のなかでも、特に人気が高いのが、NHK連続テレビ小説『ひらり』の主題歌である『晴れたらいいね』(1992年)だ。この楽曲の制作の裏側や当時の思い出について、元チーフプロデューサーの澤宏次さんと、主演の石田ひかりさんが語る。
「主題歌と500曲もの劇中音楽を制作し、作風をリードしてくれた」
●『ひらり』元チーフプロデューサーである金澤宏次さん
当時のスーパースターたちにとって、NHK連続テレビ小説(朝ドラ)のテーマ曲を担当することは、まさにマイナスイメージでした。昭和という過去の物語が主流だったからです。
時代が平成に変わったこともあり、私たちは『ひらり』で新しい風を吹かせたかった。そのためにも自分探しに揺れる登場人物たちの心情を、新しい音楽で表現したい──その一心で、ドリカムさんに書き下ろしを依頼しました。
初めておふたりにお会いしたのは、コンサートのリハーサルが行われていた体育館の片隅。すでに企画書を読んでいてくださり、
「ドラマの内容がドリカムのコンセプトにぴったり」
との言葉がとてもうれしかった。スーパースターのおふたりに、未知数だった朝ドラの主題歌を担当していただくことは快挙でした。感謝してもしきれません。
吉田さんは主題歌の作詞作曲を、中村さんは約500曲もの劇中音楽を制作してくださり、ドラマの作風をリードしてくれました。『ひらり』が平成初期を代表する朝ドラになるほど皆に愛されたのは、歌にのせてこの作品が多くのかたに届いたからだと思います。