香港の住民の3分の1以上が海外への移住を望んでいることが、香港の大学が行った世論調査で明らかになった。意外だったのは、中国本土への移住を望む人が回答者全体の5分の1を占めていたことだ。
この調査は香港中文大学の香港アジア太平洋研究所が10月9日から25日にかけて、711人の住民を対象に対面で質問したもの。
この調査で、全体の34%にあたる242人が、「機会があれば海外に移住する」と答えている。
海外移住を希望する住民が挙げた理由で最も多かったのは「悲惨な経済状況または悪化する経済の未来」で全体の23.8%の58人。次いで、「非民主的な政治システム」が14.9%の36人と続いた。
3番目に多かったのは「過度の政治紛争または不安定な政治」で14.1%の34人、4番目は「劣悪な生活環境または混雑した生活空間」で全体の12.5%の30人となっている。
海外移住を望む香港住民の動機は、今後の香港経経済の先行きや、政治的な不安定さ、あるいは住環境の悪化といった要素が大きな割合を占めていることが分かる。
また、移住したいと答えた住民の26.4%に当たる64人が「移住する準備をしている」と回答した。海外移住を検討している住民に人気のある目的地はオーストラリアが12.7%で、英国とカナダがそれに続いている。いずれも英語圏だ。
中国本土に移住したいと答えた住民は、回答者の約5分の1の142人だった。香港住民を中国本土に引き寄せる主な要因は、消費者物価の安さ、より良い生活環境、手頃な価格の住宅価格となっている。
香港住民は英語のほか、中国語(北京語や広東語)を話せる人が多く、生活中不便を感じないことも大きな理由とみられる。