「女性は家事や育児を担うべき」「男性は家族を養うべき」といったジェンダーロールの固定化によるキャリアの制約、「親は子を完全に管理すべき」「子は親に感謝し従うべき」といった親子関係における過干渉と依存、「一定の年齢で結婚すべき」「家庭を持つのが幸せの形」といった未婚・晩婚に対する社会的プレッシャー…など、旧態依然とした「昭和的な価値観」という呪縛は、現代の意思決定をいまだに縛り続けている。
性別、年齢、職業、家庭内の役割────昭和の時代において画一的とされたこれらの価値観は、家族や社会の中で当然視され、疑問を持たれることさえ希だった。令和となり、多様性が尊重される社会へと進化を遂げたものの、この無意識の偏見は昨今、所謂「アンコンシャス・バイアス」とい流行ワードにもなり取り沙汰されており、完全には払拭されていない。それどころか、現在も人々の自己評価や行動に深く影響を与え続けているのだ。
これらの問題は、昭和的な価値観の名残が無意識のうちに影響を及ぼしているケースが多く、個人の行動変容とともに、社会全体で意識的な改革が求められている。
こうした“昭和的な呪い”に焦点を当て、心の解放を目指すマインドエクササイズ本を出版した婚活コンサルタント・松尾知枝氏は、3万人以上の婚活相談者との対話を通じて、この課題の根深さを実感してきた。恋愛や結婚における悩みの多くが、単なるテクニックや条件面の問題ではなく、社会や家庭に染みついた固定観念に起因していることに気づいたという。松尾氏は、この偏見こそが人々の自己実現や行動の自由を制約し、苦しめていると指摘する。【全3回の第2回。第1回から読む】