脱毛サロンなどのエステ業界では、2024年に倒産件数が過去最多を更新すると確実視されている。
調査会社の東京商工リサーチは2024年11月26日、10月までの倒産件数が87件に達し、年内に過去最高を更新する見通しであると報告した。11月に既に最低1件の大型倒産が明らかになっており、既に件数は過去最高タイとなっている。
利用者の経済的被害が多発
・2023年の倒産件数:脱毛エステ業界では過去最多となる87件の倒産が記録され、2024年も同様のペースで推移し過去最高を更新する可能性がある
・ビー・エスコートの影響:2024年11月、業界大手のビー・エスコート運営会社が倒産し、2023年と並ぶ過去最高記録となった
・前払金スキームの問題:安価な通い放題プランで集客し、前払金を運転資金に充てるモデルが経営悪化時に返金困難を引き起こしている
東京商工リサーチによると、脱毛エステ業界では、2023年に過去最多の倒産件数87件が記録された。2024年も同様のペースで推移しており、過去最高と予測。
先に示した通り、ヒフコNEWSでも伝えたが、既に11月に業界大手のビー・エスコート運営会社の倒産が明らかになった。倒産件数はこの1件で2023年に並び過去最高タイとなった。他の倒産があれば過去最高を更新する。
エステ業界では、過去3年間に大規模倒産が相次いだ。「銀座カラー」「脱毛ラボ」「全身脱毛サロンC3」などの主要ブランドが次々と経営破綻し、それぞれ数万人規模の顧客が被害を受けた。これらの事例は、業界全体で採用されている前払金スキームの問題点を浮き彫りにしている。
若年層を中心に集客するため、安価な通い放題プランが一般的となっていた。顧客から集めた多額の前払金を運転資金として事業を拡大するモデルであったが、経営が悪化すると返金が困難になり、利用者が経済的被害を受けるケースが多発している。2023年の脱毛エステ倒産では、利用者が返金を受けられないトラブルが大きな注目を集めた。
さらに、東京商工リサーチによると、2024年は原材料やエネルギーコストの上昇、人手不足による人件費の増加が業界全体を圧迫した。また、集客のために広告費を過剰に投入する企業も多く、持続可能な運営が難しくなっている。
このほか、他社の倒産を契機に信販会社やクレジットカード会社が規制を強化したことも指摘されている。これにより資金繰りがさらに困難になった。
ビー・エスコート破産明らかに
・ビー・エスコート運営会社の破産:2024年11月25日、セピアプロミクスが東京地方裁判所から破産手続き開始の決定を受けた
・救済企業としての過去:2023年12月に「銀座カラー」運営会社の倒産時に救済企業として名乗りを上げていたが、自身も経営破綻
・業界の構造的問題:脱毛エステ業界の構造的な問題が浮き彫りとなり、利用者は契約時に慎重な検討が求められる
前述の通り、2024年11月25日、脱毛エステ老舗のビー・エスコートを運営するセピアプロミクスが東京地方裁判所から破産手続き開始の決定を受けたと公表した。
同社は昨年12月の「銀座カラー」運営会社の倒産時に救済企業の一つとして名乗りを上げていたが、自らも集客競争の激化と規制強化の影響を受け、最終的に経営が行き詰まった。
破産に伴い、同社が運営するビー・エスコートの全直営店舗は閉店。他の倒産企業と同様に、再び返金困難の事態に陥っている。一方、フランチャイズ店舗は別会社が運営を継続する方針だが、従来の契約は引き継がないため、サービスの継続や返金などが難しくなることが予想される。
脱毛エステ業界は構造的な問題を抱えており、利用者は契約にあたって慎重な検討が求められる。
参考文献
脱毛サロンなどエステ業の倒産が過去最多ペース 1-10月累計87件、初の年間100件超も視野に
脱毛エステサロン「Be・Escort(ビー・エスコート)」運営会社セピアプロミクスが破産、昨年銀座カラー倒産時は救済企業の1社だったが、脱毛の競争激化や信用販売の規制強化など原因に
東京都がエステ脱毛のローンや契約問題に対処、女性22人の申立を受け、専門家委員会で協議開始、10~20代のエステ脱毛の相談急増の解決目指す
【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。
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