韓国で45年ぶりの大嵐が吹き荒れた──。尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領(63)が12月3日夜、野党を反国家勢力とみなし、突如として非常戒厳令を宣布したのだ。戒厳司令部は、“国会や地方議会、集会、デモなどの政治活動をいっさい禁止し、全てのメディアが統制を受ける”との布告令を発表した。
韓国で非常戒厳令が布告されたのは、軍事政権下の1979年10月、当時の朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が暗殺されて以来、45年ぶりのこと。国会周辺では武装した兵士らと抗議する市民らが揉み合いになるなど、緊迫したやり取りが繰り広げられた。4日未明、国会で解除要求決議案が可決されて、戒厳令は宣布から約6時間で解除されるに至った。
韓国内では、民主主義が守られたことに安堵するとともに、突然の戒厳令に首をひねる人々も多い。現地ジャーナリストが解説する。
「尹大統領の動きはあまりに唐突で、とても勝算があったとは思えません。実際、半日も経たずに戒厳令は解除されたわけですし、“何がしたかったのか”と不思議がる声があります。“尹大統領は、汚職などの疑惑がかけられた妻の金建希(キム・ゴンヒ)を守るため戒厳令を宣布したのではないか”とも批判されています」(現地ジャーナリスト、以下同)