警視庁が作成した闇バイトの啓発チラシ(時事通信フォト)

警視庁が作成した闇バイトの啓発チラシ(時事通信フォト)

「週に2回、病院でリハビリを受けているのですが、担当の先生や介護士の方にまで”私のものに触るな”とか”私の個人情報を顧客データから消せ”と怒鳴るそうです。まさか、世間を騒がせているニュースのおかげで、うちが影響を受けるとは予想もしていませんでした。でも、それだけ社会が不安になっているのかもしれません」(税理士の男性)

 かつて闇バイト強盗の被害に遭う被害者というのは、主に比較的裕福な人であり、そうした資産情報が反社会的な組織などに漏れていたから被害に遭ったというパターンが多かった。そのため「強盗」で狙われるのはやはり金持ちである、というイメージも根強かった。しかし最近では、金持ちだから狙われたと思えない事例が増えている。

「闇バイト強盗が怖い」

 今般の闇バイト強盗報道では、被害宅が豪邸ではなく庶民的な外観だったり、強盗に入られた被害者が暴行を受けたが奪われた額が現金数万円だった、という例もあった。そういったニュースを毎日のように眺めていると、富裕層でない一般的な高齢者の間にも「うちも強盗にやられる」などと不安が募るのだろう。

 千葉県在住の会社員女性(40代)は、闇バイト強盗の報道ばかりを見ていた埼玉県内に住む母親が、一歩も家を出なくなってしまったことに頭を悩ませている。

「高齢の父と母が埼玉の実家で暮らしていますが、闇バイトの強盗が怖いと言って昼間から雨戸を締め切って、インターホンは電池まで抜いて使えなくしました。固定電話も契約を解除しており、無理を言って携帯を持たせていますので、なんとか連絡は取れますが、自治会の会長さんから”何かあったのか”と電話が来るほど、外には全く出なくなってしまった」(会社員女性)

 女性の元にも、毎日のように「闇バイト強盗が怖い」という母親からの電話がかかってきていたという。

「強盗が怖い、というので、うち(実家)にはお金がないから大丈夫だよと冗談を言っていたのですが、泣き出しちゃうんですよ、この怖さがわからないのかって。昔はこんな弱気じゃなかったし、私の前で泣くことなんてなかったんです。同居の父も、ママがおかしくなったと落ち込んでいます。2人とも外出が極端に減って、高齢者ですから健康への影響も不安です」(会社員女性)

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