米国での5年間は「辛い時のほうが多かった」
筒香がレンジャーズ傘下でプレーしていた昨年、チームの公式Xに昇格を目指す筒香の写真が掲載されると「激痩せ」したと話題になった。日本球界に復帰してからも「痩せたね」と声を掛けられることが多かったという。
「いろいろな方に言われるんですよ、『昔より腕や足が細くなった』って(笑)。心配の連絡ももらってビックリしました。でも体重は数年前からほとんど変わっていないですし、今年のCSが始まる前にはトレーナーさんに計測してもらったら、2019年のデータと比べて全然変わっていない。
右の太ももが2センチ細くなっただけですね。ユニフォームのサイズをかなり小さくしていたことで見た目の印象が変わったのかもしれません。今シーズン途中にワンサイズ大きくしたら、『ちょっと戻ったね』と言われて。全く変わってないんですけどね(笑)」
改めて聞く。米国でプレーした5年の月日をどう振り返るか。
「純粋にあの場所でプレーしたいという気持ちで挑戦しましたが、経験しなければ味わえないことがたくさんありました。メジャーにいた時は凄く楽しかったですし毎日が充実していましたけど、マイナーにいると環境面で大きな違いがあります。毎日本当に楽しかったかと言ったら、辛い時のほうが多かったです。でも落ち込んで元気がないとかそういう感覚にはならなかったですね。全ての経験が財産になっています」
米国での挑戦はうまくいかない時期のほうが長かったかもしれない。だが、メジャーで活躍することを目指した5年の歳月は数字で表せない大きな価値がある。異国の地で奮闘する戦友を見つめる眼差しは温かい。高校時代から互いに存在を意識していた同学年の菊池雄星(33)は今シーズン途中にトレード移籍したアストロズで大活躍。DeNAでチームメートだったカブス・今永昇太(31)は移籍1年目で15勝をマークし、親交の深い鈴木誠也(30)も日本人右打者初の2年連続20本塁打を達成した。
「米国でプレーした人間にしか分からない苦労がある中で、長年コンスタントにメジャーで活躍している雄星を尊敬しています。今永も1年目から素晴らしい成績を残して凄い投手だなと。(鈴木)誠也も活躍しています。メジャーは大変なことだらけです。それでも負けずに力を発揮できていることに、心から凄いなと思いますし、これからも頑張ってほしい。横浜から応援しています」
◆取材・文/平尾類(フリーライター)
(了。前編から読む)