かつては退局者が続出するなど、“最もアナウンサーが活躍できないテレビ局”などと揶揄された TBSが、ここ最近、女性アナの活躍がめざましい。どんなきっかけで女性アナたちが躍進するようになったのか? その背景についてコラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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13日、「好きな男性アナウンサーランキング2024」が発表され、なかでも注目を集めたのはTBSのアナウンサー。2位に南波雅俊アナ、6位に赤荻歩アナ、10位に杉山真一アナがランクインする躍進を見せました。
一週間前の6日には「好きな女性アナウンサーランキング2024」で田村真子さんがTBS初の1位に輝いたほか、2位も江藤愛アナのワンツーフィニッシュ。その他でも世代別・10-20代の5位に宇賀神メグアナがランクインしたほか、若林有子アナ、佐々木舞音アナ、吉村恵里子アナ、南後杏子アナなどの将来も嘱望されるなど黄金期に入った感があります。
ただ、TBSは数年前まで「最もアナウンサーが活躍できないテレビ局」などと言われ、2010年代後半は退局者が続出するなど苦しい時期が続いていました。
アナウンサーの人気で言えば、2010年代まではフジテレビがトップを走り、それ以降は水卜麻美アナらの日本テレビと弘中綾香アナらのテレビ朝日が強い時期が続き、さらに有働由美子アナや田中みなみアナらフリーアナに人気が集まっていました。いつどんなきっかけで風向きが変わり、TBSの躍進がはじまったのでしょうか。
「女版・安住」の江藤愛を軸に
「好きなアナウンサーランキング」で言えば、風向きが変わりはじめたのは3年前の2021年で、江藤アナが36歳にして初めて8位にランクイン。女性アナウンサーが30代に入って初めてランクインするケースは少ない上に、『THE TIME』『ひるおび!』など報道・情報番組でのアナウンスと、音楽番組『CDTVライブ!ライブ!』での親しみやすさの両面が評価されました。
さらに翌2022年には江藤アナが8位から3位にランクアップしたほか、田村アナが8位に初のランクイン。2023年には江藤アナが3位から2位、田村アナが8位から4位にランクアップし、今年のワンツーフィニッシュにつなげました。
かつて江藤アナは「女版の安住紳一郎アナになりたい」と語ったこともありましたが、ベテランの域に入った今、安住アナのような実力と人気を併せ持つポジションに定着。他局で言えば、テレビ朝日の大下容子アナ、テレビ東京の大江麻理子アナ、日本テレビの水卜麻美アナのような局の軸となる女性アナウンサーが認知されたことで、田村アナら若手アナが伸び伸びとやれる環境が整ったように見えます。
それまでTBSの女性アナウンサーは小林麻耶アナ、田中みなみアナ、宇垣美里アナら「個性的なキャラクターが起用されやすく、人気者になっても退局してしまう」ほか、「チャンスに恵まれない人も、やはり退局してしまう」という時期が続いていました。
その背景にあったのは、「一部の人気アナに仕事を集中させる」「知名度のあるフリーアナを番組の顔として起用する」という制作サイドの偏った起用。他局が1年目から若手アナを次々に抜てきする一方、TBSは今をときめく田村アナですら仕事に恵まれないなど自局アナウンサーの起用が少なく、不満の声が外部に漏れるようなケースもありました。
しかし、令和に入ると一転して、朝や昼の報道・情報番組から夜のバラエティまで若手アナの起用が進みました。ただ決してアイドルのような扱いはせず、アナウンス力をベースにしつつ親しみやすさを感じさせるような演出が見られ、最近は他局以上に若手アナが伸び伸びとした姿を見せている感があります。