中国の習近平国家主席の父である習仲勲氏(1913~2002年)が1920年代から1930年代にかけて、中国北西部、現在の陝西省や甘粛省、寧夏回族自治区における中国共産党の「革命拠点」を建設する過程を描いたテレビドラマシリーズ『西北歳月』が11月に放映された。しかし、放映前から大々的に宣伝された割には、平均視聴率は3.1%と振るわず、大コケしていたことが明らかになった。
習氏の父親だけでなく母親の活躍も描いていた同ドラマだが、習氏のカリスマ性を高めるための“宣伝臭”が強いことから、市民の間でしらけムードが漂い、視聴率も振るわなかったとみられる。米政府系報道機関「ボイス・オフ・アメリカ(VOA)」が報じた。
『西北歳月』は11月5日から中国国営放送の「中国中央テレビ局(CCTV)」がほぼ毎日、ゴールデンタイムの午後8時から全39話が放送された。
1話の放送時間は45分で、内容について、CCTVは「中国共産党の歴史において特別な意味を持つ『紅革命基地区』である陝西・甘粛・寧夏革命基地区の革命史を包括的に提示した最初の叙事詩」などと宣伝していた。
具体的には、同革命基地の建設、国境地域の警備、日本の侵略に対する抗日戦争への参加、土地改革の推進、経済推進や文化問題、北西部の少数民族および宗教政策なの史実を描いている。
ドラマは習仲勲氏の活躍を中心に描いており、その妻であり、習近平氏の母親でもある斉心氏とのラブロマンスなども描かれている。しかし、狙いとしては現在の最高指導者である習近平一族の共産党における正統性を強調することがあったようだ。
習近平氏が2012年に中国共産党総書記、翌年には国家主席に就任し中国指導部序列ナンバー1の最高指導者の座に就いたことで、習仲勲氏もある程度は市民に知られるようになっている。
しかし、習仲勲氏は党中央委員、国務院副総理などを歴任したとはいえ、中国国民党との内戦で中国軍を率いた最高指導者である毛沢東や周恩来首相ほどには名前が知られておらず、文化大革命(1966~1976年)で失脚するなど、いわば地味な存在だったこともあってか、ゴールデンアワーに放送された割には視聴率が上がらず、初回は2.9%で、39話平均でも3.1%と低調だった。