手を差し伸べたのは“球界の盟主”だった──巨人が楽天から自由契約となった田中将大(36)を獲得することがわかった。
田中の自由契約が報じられた直後、巨人は「ローテ若返り」を理由に獲得を見送る方針だと複数のメディアが報じていた。菅野智之(35)のメジャー挑戦に伴う先発補強は必須だったが、ソフトバンクからFA宣言した石川柊太(32)の獲得で埋める算段だった。しかし、石川の獲得に失敗したことで、事態が動く。巨人番記者が語る。
「まさに急転直下だったため、獲得に動いていたことを知らなかった幹部もいたほどです。きっかけは阿部慎之助監督(45)自らフロントに獲得を訴えたこと。今季菅野は150イニング超を投げていて、イニングを稼げる投手がほしかったようです。
確かに巨人は先発ローテが揃っているように見えますが、若手も多く、来季も期待通りの活躍ができるとは限らない。田中は今季こそ1登板でしたが、それまでの3年間は平均150イニング投げている。1年通してローテを守れなくても、チームが苦しい状況で投げてもらえればという考えのようです」
とはいえ「イニングを稼ぐ」だけなら田中でなくてもいい話。当然、あと3勝に迫った田中の日米通算200勝での興行も魅力的な条件だろうが、阿部監督にとって田中は10学年下でありながら敬意を払う対象だったようだ。
「2人は2009年のWBCに初選出されていますが、阿部は当時すでに日本球界を代表する捕手だったにもかかわらず、イチローや松坂大輔といった世界を代表する選手に囲まれたことでなかなか持ち味を出せず、城島健司の控えという立ち位置だった。
一方の田中はまだプロ3年目ながら阿部や城島にも萎縮せず、自分の意見をズバズバ言える大物の片鱗を見せていた。試合でもバッテリーを組みましたが、阿部が“マー君はすごい投手になる”と褒めていて、食事にも連れて行くなど可愛がっていた。
2013年のWBCでも再度バッテリーを組み、その年の日本シリーズでは楽天と巨人が対決することになりました。敗れたにもかかわらず阿部は“マー君の存在がチームを引き上げた”と脱帽しきり。巨人は日本一から遠ざかっていますが、マー君の野球への姿勢が“常勝・巨人軍”には欠かせないと考えているのではないか」(スポーツ紙デスク)