日本の着物への過剰反応を示す事件が発生
中国では12月13日、「南京事件」の87周年を迎え、江蘇省南京市の「南京大虐殺記念館」で追悼式典が行われた。一方で、現地の日本人学校は邦人男児の刺殺事件などが起きていることから「敏感な日」として休校などの措置を講じた。また在中国日本大使館は「反日感情が高まりやすい」として注意喚起を行った。
そんな中、南京市の南京中山植物園で12月22日、若い女性が日本の着物姿で現れ、三脚を立てて、カメラで撮影していたところ、近くにいた老人のグループが「ここは南京だぞ。なんでそんなものを着ているんだ。脱がせてやるぞ、その着物」などと怒鳴りながら女性に詰め寄る事件があったことが分かった。
女性は着物の上にコートを羽織って、その場から逃げ去って事なきを得たが、中国ではこれまでも日本のアニメファンの中国女性が着物を着ていたところ、警察に連行されるなど、日本の着物への過剰反応を示す事件が起きている。香港紙「星島日報」が報じた。
老人グループが着物姿の中国人女性に罵声を浴びせるなどしていたところをその場に居合わせた市民が動画で撮影し、インターネット上に公開したところ、拡散されて大きな反響を呼んだ。
着物姿の女性は当初、老人たちの非難に対して、「私は着物が好きなんです。きれいですから、ここ(植物園)で、着物を着た姿を撮りたいと思ってきたのです」などと話していた。
しかし、老人たちは「ここは南京だ。日本の着物がふさわしい場所ではないでしょう。警察呼ぶぞ、逮捕してもらうぞ」などと大声で怒鳴ると、女性は「呼べばいいでしょう、でも着物での撮影はだめなの? 攻撃はやめて、侮辱もやめて」と哀願するように語り、しぶしぶ撮影を止め、コートを着てその場を離れたという。
この騒動があった翌日の12月23日、南京中山植物園のスタッフはメディアの取材に対し、「事件は観光客の個人的な行動であり、公園に入ったときに着物を着ていたことは把握できておらず、公園に入った後に着物に着替えたようだ」と話しているという。
この事件が起きた22日は、「南京事件」の87周年記念日の9日後だったこともあって、老人グループを刺激したようだ。
中国ではこれまでも、日本風の着物姿の人が市民らによって詰問されるなどの事件が絶えない。