日本の公正取引委員会に当たる「中国国家市場監督管理総局」はこのほど、「中国軍や中国政府の主要官庁などに宴会用として卸している特別供給用の酒」などと偽って、原価が1本当たり約3元(約63円)の偽酒を1000元(約2万1000円)ほどで売っていた酒造メーカーのチェーン店84店舗を一斉捜索し、全部で13万2000本の偽酒と、偽のラベルなどの包装材料9万2000枚を押収した。
中国国営新華社通信によると、酒造メーカーは各店舗で、「中国軍に特別に卸している『戦友ボトル』のマオ台酒」、「中国外務省が海外からの国賓に特別に提供している極上ワイン」などと偽って販売。この酒を購入した消費者から同総局に「特別な酒と言われて飲んだところ、具合が悪くなった」などとの苦情や通報が相次ぎ、なかには死亡した人のいたことから、今年3月から内偵捜査が進められてきたという。
同総局の報告書によると、近年、一部の違法な生産者や販売業者が、党や政府機関、軍向けといわれる「特別」、「独占」、「内部」と銘打たれた酒を製造および販売していた。しかし1000元を超える価格の「戦友記念酒」のボトルの中身は3元の「白酒(ばいちゅう)」と呼ばれる粗悪な酒だったことが判明したほか、「中国国務院(政府)特別供給酒」と銘打った酒の中にはメチルアルコールが混入されており、これを飲んで死亡した人もいたという。
これらの偽酒は店頭に加え、インターネットでも販売されており、同総局は押収した証拠品などから、2000本近くの情報を割り出し行方追っている。